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玉ねぎを切ると涙が出るのはなぜ? 研究でわかった仕組みと、涙を減らす切り方

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木のまな板の上で刻んでいるネギ
Photo: Sarah5252 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

玉ねぎを切ると、悲しくもないのに涙が止まらない。これは、玉ねぎが切られた瞬間に、目を刺激する成分をその場で作っているからです。2002年に日本の研究チームが、その成分を作る酵素を見つけました。2025年の研究では、よく切れる包丁でゆっくり切ると、涙のもとを運ぶしぶきが少ないこともわかっています。

3行でわかる

  1. 玉ねぎの涙は、切って細胞が壊れた瞬間に、2つの酵素が順番に働いてできる「催涙因子」が原因です。
  2. 涙のもとを作る酵素が少ない玉ねぎを20人が試すと、全員が涙を誘う感じも辛みもないと答えました。催涙因子は約7.5分の1でした。
  3. 2025年の研究では、切れない刃で最大約40倍、速い切り方で約4倍、しぶきの数が増えました。包丁を研いで、ゆっくり切るのが研究から言える工夫です。

01 悩みの正体玉ねぎの涙の原因は、何という成分?

涙の原因は、切ったときにできる「催涙因子(さいるいいんし)」という揮発しやすい成分です。玉ねぎの中に最初からあるのではなく、細胞が壊れた瞬間に、酵素の反応で作られます。

玉ねぎを丸ごと置いておいても、目はしみません。涙が出るのは、包丁を入れたあとです。

玉ねぎの細胞には、においのもとになる硫黄の成分と、それを分解する酵素(アリイナーゼ)が、別々の場所にしまわれています。包丁で細胞が壊れると、この2つが混ざります。

混ざってできた物質を、もう1つの酵素が「催涙因子」に変えます。正式な名前はプロパンチアール-S-オキシドです。空気中に広がりやすく、目に届くと涙が出ます。

段階玉ねぎの中で起きること
1. 切る前硫黄の成分と酵素(アリイナーゼ)は、細胞の中で別々の場所にある
2. 包丁が入る細胞が壊れて2つが混ざり、反応しやすい中間の物質ができる
3. 催涙因子ができるもう1つの酵素(催涙因子合成酵素)が、中間の物質を催涙因子に変える
4. 目に届く空気中や細かいしぶきに乗って目に届き、目の表面の神経を刺激して涙が出る

2024年の研究は、催涙因子は玉ねぎが動物に食べられないための「守りのしくみ」だと説明しています。同じネギの仲間のニンニクのにおいについては、ニンニクを食べたあと口臭が消えないときは?で紹介しています。

02 科学的にわかっていること涙を作る酵素は、どうやって見つかった?

2002年、日本の研究チームが、催涙因子を作る専用の酵素を見つけました。この酵素を働かなくした玉ねぎや、もう1つの酵素が少ない玉ねぎでは、催涙因子が大きく減りました。

Imai Sら(2002)[1]

日本の食品会社の研究チームが、アリイナーゼとは別に、催涙因子を作るための専用の酵素があることを示しました。この酵素は「催涙因子合成酵素」と呼ばれています。

対象: 玉ねぎから取り出した酵素を調べた研究。 / 限界: 本文には環境から届かず、内容はEady(2008)・Kato(2016)・Silvaroli(2017)の論文の説明で確かめました。

Eady CCら(2008)[2]

遺伝子の働きを抑える方法で、催涙因子合成酵素を作らない玉ねぎを6株作りました。酵素の働きは最大で1544分の1に下がり、切ったときの催涙因子は大きく減りました。代わりに、別の硫黄の成分が増えました。

対象: 研究のために作った、遺伝子組換えの玉ねぎ。 / 限界: 涙の量を人で測った研究ではありません。

Kato Mら(2016)[3]

玉ねぎの種約1500粒にイオンのビームを当てて、変わった株を3世代かけて選びました。できた玉ねぎを20人が試すと、全員が「涙を誘う感じも辛みもない」と答えました。催涙因子は普通の玉ねぎの約7.5分の1で、もう1つの酵素(アリイナーゼ)の遺伝子の働きが1%未満になっていました。

対象: 北海道で育てた玉ねぎと、20人の試食。 / 限界: 食品会社の研究チームによる研究です。涙の量そのものは測っていません。

この試験では、涙の出ない玉ねぎにアリイナーゼを足すと、催涙因子は普通の玉ねぎと同じくらいまで戻りました。2つの酵素が順番に働かないと、涙のもとはできないということです。2017年には、催涙因子合成酵素の形(立体構造)も明らかになりました[4]。

02 しぶきの研究涙のもとは、どうやって目まで届く?

2025年の研究では、包丁が入った瞬間に、玉ねぎの汁が細かいしぶきになって、秒速1〜40mで飛び出していました。切れない刃や速い切り方ほど、しぶきの数が増えました。

Wu Zら(2025)[5]

刃を落として玉ねぎを切る装置を作り、1秒に5000〜2万コマの高速カメラで撮影しました。包丁が入ると、まず速い霧のようなしぶきが噴き出し、そのあと細い糸状の汁がちぎれて粒になりました。刃を落とす速さを毎秒0.44mから2.03mに上げると、しぶきの数は約4倍に増えました。刃先の幅が0.91μmの鋭い刃に比べ、13.3μmの切れない刃では、最大で約40倍に増えました。

対象: 機械で切った玉ねぎ。 / 限界: しぶきの量を測った研究で、人の涙の量は測っていません。著者らは、鋭い刃で、ゆっくり切るとしぶきが少ないとまとめています。

いちばん速いしぶきは、包丁が入った直後に飛び出していました。著者らは、これが切る人の目に届きやすいと考えています。軽いしぶきは、空気の流れに乗って漂うこともわかりました。

03 今日からできる小さな一歩玉ねぎを切っても涙を減らすには?

研究から言えるのは、よく切れる包丁を使い、ゆっくり切ることです。しぶきの数は、切れない刃で最大約40倍、速い切り方で約4倍に増えました。

1

包丁を研いでから切る

切れない刃ほど、玉ねぎがつぶれてからはじけるため、しぶきが多く、速くなりました。

所要 研ぐのに5分ほど

2

押しつぶさず、ゆっくり刃を入れる

刃の速さを毎秒約2mから約0.4mに落とすと、しぶきの数は約4分の1でした。

所要 いつもより少し時間をかける

3

顔を玉ねぎの真上から少し離す

しぶきは刃の面に沿って、ほぼ真上に飛んでいました。顔を真上に近づけない工夫は、この結果からの考え方です(涙で確かめた研究ではありません)。

所要 すぐできる

「冷蔵庫で冷やしてから切ると涙が出にくい」とよく言われます。2025年の研究で1℃で12時間冷やした玉ねぎを切ると、しぶきの速さは常温と差がなく、しぶきの量はむしろ多く見えました。涙そのものは測っておらず、冷やす方法の効果はまだはっきりしません。

04 続けるためのコツ涙が出やすい玉ねぎ・出にくい玉ねぎはある?

あります。涙のもとを作る酵素が少ない玉ねぎは、催涙因子が少なく、涙も辛みも感じにくいと報告されています。生で食べたときの辛みも、同じ成分が関係しています。

05よくある質問

玉ねぎを冷やしてから切ると、涙が出にくい?

よく言われる方法ですが、確かめた研究は見つかりませんでした。2025年の研究で1℃で12時間冷やした玉ねぎを切ると、しぶきの速さは常温と差がなく、量はむしろ多く見えました。涙の量は測っていないため、効果はまだはっきりしません。

よく切れる包丁だと、なぜ涙が減るの?

切れない刃では、玉ねぎの表面の皮がなかなか切れず、中の層が押しつぶされてから一気にはじけます。2025年の研究では、刃先の幅が0.91μmの刃に比べ、13.3μmの刃でしぶきの数が最大約40倍になりました。

涙が出ない玉ねぎはあるの?

研究で作られています。2016年の日本の研究では、涙のもとを作る酵素が少ない玉ねぎを選び出し、20人が試すと全員が涙を誘う感じも辛みもないと答えました。2008年には、催涙因子合成酵素を働かなくした玉ねぎも作られています。

玉ねぎの涙の成分は、体に悪い?

催涙因子は、玉ねぎが動物に食べられないための成分だと考えられています。今回調べた研究に、切るときの涙が目を傷めたという報告はありませんでした。痛みが続くときは、水で目を洗い、眼科に相談してください。

出典

  1. Imai S, Tsuge N, Tomotake M, Nagatome Y, Sawada H, Nagata T, Kumagai H (2002). Plant biochemistry: an onion enzyme that makes the eyes water. Nature, 419(6908), 685. https://doi.org/10.1038/419685a
  2. Eady CC, Kamoi T, Kato M, Porter NG, Davis S, Shaw M, Kamoi A, Imai S (2008). Silencing onion lachrymatory factor synthase causes a significant change in the sulfur secondary metabolite profile. Plant Physiology, 147(4), 2096-2106. https://doi.org/10.1104/pp.108.123273
  3. Kato M, Masamura N, Shono J, Okamoto D, Abe T, Imai S (2016). Production and characterization of tearless and non-pungent onion. Scientific Reports, 6, 23779. https://doi.org/10.1038/srep23779
  4. Silvaroli JA, Pleshinger MJ, Banerjee S, Kiser PD, Golczak M (2017). Enzyme that makes you cry: crystal structure of lachrymatory factor synthase from Allium cepa. ACS Chemical Biology, 12(9), 2296-2304. https://doi.org/10.1021/acschembio.7b00336
  5. Wu Z, Hooshanginejad A, Wang W, Hui CY, Jung S (2025). Droplet outbursts from onion cutting. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(42), e2512779122. https://doi.org/10.1073/pnas.2512779122
  6. Cho H, Park JY, Kim DH, Han J, Natesan K, Choi MS, Lee SK, Kim J, Cho K, Ahn BO (2024). Understanding the defense mechanism of Allium plants through the onion isoallicin-omics study. Frontiers in Plant Science, 15, 1488553. https://doi.org/10.3389/fpls.2024.1488553