気分・ストレス

音や光がつらい感覚過敏、自分でできる対策は? 6つの研究でわかったこと

約9分で読めます 出典照合済み(2026-10-10)

Wolverhampton, United Kingdom
Photo: Alex Holyoake stairhopper / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

まわりは平気なのに、食器の音や蛍光灯がつらくてたまらない。それは気のせいでも、わがままでもありません。研究では、同じ悩みを持つ人は珍しくないこと、そして「遮る道具の使い方」と「記録」で付き合い方を変えられることがわかっています。

3行でわかる

  1. 音への過敏さは一般の人の0.2〜17.2%に見られ、小学生では親の16%が「音や肌ざわりを4つ以上嫌がる」と答えた。
  2. イヤーマフは子どもの音の困りごとを減らした。一方、聴こえに問題のない人が耳栓で2週間音を遮り続けると、音に敏感になる方向に変わった。
  3. 道具はつらい場面だけ使い、何がつらく何が効いたかを記録すると、対策と頼みごとがはっきりする。

01感覚過敏は「気にしすぎ」ではない

感覚過敏は、多くの人が気にならない音・光・におい・肌ざわりを、強い不快や痛みとして感じる状態です。珍しいことではありません。

音についての過敏さは「聴覚過敏」と呼ばれます。研究では「ほとんどの人が困らない大きさの音に耐えられない状態」と定義されています。

つらさの原因は人によって違います。よく挙がるのは次のような刺激です。

02科学的にわかっていること

よくある悩みであること、遮る道具は効くが着け続けると逆効果になりうること、記録が行動を変えることが、それぞれ研究で示されています。

問い研究でわかったこと
どのくらいの人がいる?一般の人で0.2〜17.2%。自閉スペクトラム症の人では約41%
イヤーマフは効く?子ども21人の研究で、使う期間は困りごとが有意に減った
ずっと着けていい?耳栓で遮り続けると、音に敏感になる方向に変わった
記録に意味はある?進み具合を確かめると目標を達成しやすくなり、書き残すと効果が大きかった(138件の実験)

Renら(2021)[1]

42件の研究(計34,796人)をまとめたところ、一般の人の聴覚過敏の割合は0.2〜17.2%でした。女性に多く、10代と高齢者で多い傾向がありました。

対象: 42件の研究のまとめ / 限界: 調べ方が研究ごとに違い、割合の幅が大きい。

Ben-Sassonら(2009)[2]

7〜11歳の子ども925人の親のうち、16%が「音や肌ざわりのうち4つ以上を子どもが嫌がる」と答えました。過敏さが強い子は、不安などの困りごとが多いと報告されました。

対象: 小学生925人の親 / 限界: 親の回答で、子ども本人の感じ方は測っていない。

Williamsら(2021)[3]

自閉スペクトラム症の人を調べた研究をまとめると、いま聴覚過敏がある人は約41%、これまでにあった人は約61%と推定されました。

対象: 67件の研究 / 限界: 多くは聞き取りや質問紙による推定。客観的な測定では約27%と低めだった。

Ikutaら(2016)[4]

自閉スペクトラム症の子ども21人が、イヤーマフとノイズキャンセリングヘッドホンを2週間ずつ使いました。イヤーマフの期間は、音に関する困りごとが使わない期間より有意に減りました。ノイズキャンセリングでは5人が改善しましたが、統計的な差はありませんでした。

対象: 4〜16歳の21人 / 限界: 予備的な研究で人数が少なく、4人はどちらも着けるのを嫌がった。

Formbyら(2003)[5]

聴こえに問題のない人が2週間、耳栓で音を遮り続けると、それまでより小さな音で同じ「うるささ」を感じるようになりました。つまり音に敏感になる方向です。小さなノイズを流し続けた場合は、逆の方向に変わりました。

対象: 聴こえに問題のない少人数 / 限界: 2週間だけの実験で、聴覚過敏の人を対象にした実験ではない。

Harkinら(2016)[6]

138件の実験(計19,951人)をまとめたところ、進み具合を確かめる習慣は目標の達成を後押ししました。紙などに書き残したときや、人に報告したときに効果が大きくなりました。

対象: 運動や食事など行動の目標全般 / 限界: 感覚過敏そのものを調べた研究ではない。

03今日からできる小さな一歩

道具は「つらい場面だけ」使い、何がつらく何が効いたかを1行で記録する。研究に沿うと、この2つから始めるのが近道です。

1

遮る道具を「すぐ出せる場所」に入れる

イヤーマフ・耳栓・帽子・サングラスを、かばんの決まったポケットに入れておきます。子どもの研究では、イヤーマフを使う期間に音の困りごとが減りました。集中したいときの使い分けは「耳栓やノイズキャンセリングは集中力を上げるのか」にまとめています。

所要 5分

2

静かな場所では外す

家や静かな部屋では外して、ふだんの音を耳に入れておきます。耳栓で遮り続けると、音に敏感になる方向に変わった実験があるためです。

所要 数秒

3

つらかった場面を1行で記録する

「何が・どこで・何をしたら楽になったか」だけを残します。進み具合を確かめると目標を達成しやすく、書き残すと効果が大きくなることが、138件の実験のまとめで示されています。

所要 30秒

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04続けるためのコツ

つらい日だけでなく楽だった日も残し、たまった記録を具体的な頼みごとに変えると、環境そのものを変えやすくなります。

05よくある質問

感覚過敏は病気なの?

特定の病気の人だけに起こるものではありません。自閉スペクトラム症の人に多い(聴覚過敏は約41%)一方、診断がない人にも見られます(一般の人で0.2〜17.2%)。耳の痛み、急な聴こえの変化、生活に支障が出るほどのつらさがあるときは、耳鼻咽喉科などで相談してください。

耳栓やイヤーマフは使わないほうがいいの?

いいえ。つらい場面で使うのは有効で、子どもの研究ではイヤーマフで困りごとが減りました。ポイントは、静かな場所でも着け続けないことです。

イヤーマフとノイズキャンセリング、どちらがいい?

子ども21人の研究では、イヤーマフで有意な改善が見られ、ノイズキャンセリングでは差がありませんでした。ただし少人数の予備的な研究です。両方を試し、記録で比べるのが確実です。

職場や学校に配慮を頼んでもいいの?

頼めます。改正障害者差別解消法により、2024年4月1日から、障害のある人への事業者による合理的配慮の提供が義務になりました(働く場での配慮は、障害者雇用促進法という別の法律で定められています)。「どの場面で・何がつらく・何があれば楽か」を具体的に伝えると話が進みやすくなります。

出典

  1. Ren J, Xu T, Xiang T, et al. (2021). Prevalence of Hyperacusis in the General and Special Populations: A Scoping Review. Frontiers in Neurology, 12, 706555. https://doi.org/10.3389/fneur.2021.706555
  2. Ben-Sasson A, Carter AS, Briggs-Gowan MJ. (2009). Sensory over-responsivity in elementary school: prevalence and social-emotional correlates. Journal of Abnormal Child Psychology, 37(5), 705-716. https://doi.org/10.1007/s10802-008-9295-8
  3. Williams ZJ, Suzman E, Woynaroski TG. (2021). Prevalence of Decreased Sound Tolerance (Hyperacusis) in Individuals With Autism Spectrum Disorder: A Meta-Analysis. Ear and Hearing, 42(5), 1137-1150. https://doi.org/10.1097/AUD.0000000000001005
  4. Ikuta N, Iwanaga R, Tokunaga A, et al. (2016). Effectiveness of Earmuffs and Noise-cancelling Headphones for Coping with Hyper-reactivity to Auditory Stimuli in Children with Autism Spectrum Disorder: A Preliminary Study. Hong Kong Journal of Occupational Therapy, 28, 24-32. https://doi.org/10.1016/j.hkjot.2016.09.001
  5. Formby C, Sherlock LP, Gold SL. (2003). Adaptive plasticity of loudness induced by chronic attenuation and enhancement of the acoustic background. The Journal of the Acoustical Society of America, 114(1), 55-58. https://doi.org/10.1121/1.1582860
  6. Harkin B, Webb TL, Chang BP, et al. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198-229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
  7. 内閣府. 障害者差別解消法リーフレット(令和6年4月1日からの合理的配慮の提供の義務化). https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet-r05.html