先延ばし

作業しようとすると、ついスマホを見て先延ばししてしまう。スマホから離れるやり方を研究で調べた

約7分で読めます

スマートフォンを預ける鍵つきの充電ロッカー
Photo: Ian Kennedy / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

やるべきことがあるのに、気づくとスマホを手に取っている。少しだけのつもりが、30分たっていた。そんな自分にがっかりしていませんか。2週間にわたって1万2千回以上の記録をとった研究では、スマホやアプリから意識して離れていた時間ほど、先延ばしが少なくなっていました。効いていたのは、スマホそのもの、アプリ、通知などの機能から離れることでした。

3行でわかる

  1. 75件・4万8千人分の研究をまとめた分析で、スマホへの依存傾向が強い学生ほど先延ばしも多い傾向があった(相関 r=0.376)。
  2. 237人の2週間の記録では、スマホやアプリから意識して離れた時間帯は、先延ばしが少し少なく、その効果は次の時間帯にも小さく残っていた。
  3. 離れ方で差があり、効いていたのは「スマホ」「アプリ」「通知などの機能」から離れること。特定の相手とのやりとりを控えるだけでは関係がなかった。

01 悩みの正体作業の前にスマホを見てしまうのはなぜ?

スマホには、すぐに楽しめるものがいつも手の届くところにあるためです。やりたくない作業と楽しい動画がぶつかると、目の前の楽しさを選びやすくなります。

先延ばしは、いやな気分から一時的に逃げる行動だと考えられています。この仕組みは先延ばしと感情の研究で紹介しています。

スマホは、その逃げ場として最も身近なものです。ドイツの研究チームは、スマホの使用が仕事や勉強などの大事な目標とぶつかる状態を「目標の衝突」と呼びました[1]。そう感じる時間帯ほど、先延ばしも多くなっていました。

r = 0.376

75件の研究(4万8,031人)をまとめた、学生のスマホへの依存傾向と先延ばしの相関[2]

ただし、これは「関係がある」という結果です。スマホが先延ばしを生むのか、先延ばししたい気持ちがスマホに向かうのかは、この分析からはわかりません[2]。どちらにしても、作業の前にスマホから離れる工夫が役に立つかが、次の問いになります。

02 科学的にわかっていることスマホから離れると、先延ばしは減る?

意識してスマホやアプリから離れた時間帯は、先延ばしが少しだけ少なくなっていました。いくつかの工夫を組み合わせて2週間続けた実験では、スマホの使いすぎも減りました。

Klingelhoeferら(2026)[1]

ドイツの18〜35歳の237人に、2週間、1日最大5回、スマホで短い質問に答えてもらいました(合計1万2,408回)。「この2時間で、スマホやアプリから意識して離れたか」と「やるべきことを不要に後回しにしたか」を尋ねています。同じ人のなかで比べると、離れていた時間帯は先延ばしが少し少なくなっていました。次の時間帯(2時間以上あと)にも、小さな差が残っていました。

対象: ドイツの若い大人237人(Androidの利用者) / 限界: 観察研究で、どちらも自己申告です。差は小さく、「離れる人ほど先延ばししない」という人どうしの比較では差が出ませんでした。

どこから離れたか先延ばしとの関係(同じ人のなかで比較)
スマホそのもの(電源を切る、置いておく)少ない[1]
アプリ(SNSなどを開かない)少ない[1]
機能(通知、おすすめ表示など)少ない[1]
やりとり(特定の相手と連絡しない)はっきりした関係なし[1]
内容(特定の話題を見ない)はっきりした関係なし[1]

Olsonら(2022)[3]

カナダの大学で、通知を減らす、画面を白黒にするなど10の工夫を2週間続けてもらいました。2つめの実験(70人)では、スクリーンタイムを記録するだけのグループとくらべ、スマホの使いすぎの度合いとスクリーンタイムが減り、睡眠の質も上がりました。最も守られた工夫は通知を減らすことで、守るのが難しかったのはスマホを家に置いていくことでした。

対象: 1つめの実験51人、2つめの実験70人 / 限界: 10の工夫を組み合わせた結果で、どれが効いたかは分けられていません。先延ばしそのものは測っていません。

Throuvalaら(2020)[4]

イギリスの大学生に、マインドフルネスの練習、自分のスマホの使い方の記録、気分の記録を10日間続けてもらいました。何もしないグループとくらべ、「スマホに気が散る」程度が大きく下がりました。ただし、SNSの利用時間や、無意識にスマホを手に取る習慣は変わりませんでした。

対象: 分析の対象になった大学生143人 / 限界: 自分から参加した学生が多く、途中でやめた人も多いため、著者らは結果を慎重に扱うべきだとしています。

03 今日からできる小さな一歩作業の前に、どうスマホから離れればいい?

作業を始める前に、スマホを手の届かない所に置き、気が散るアプリと通知を止めます。研究で先延ばしの少なさと関係していたのは、この3つの離れ方です。

1

作業の前に、スマホを別の部屋か引き出しに置く

「スマホそのものから離れる」ことは、先延ばしの少なさと関係していました[1]。手を伸ばして届く場所に置かないのがポイントです。

所要 1分

2

つい開いてしまうアプリを、作業の時間だけ止める

SNSや動画など、逃げ場になりやすいアプリを決めておきます。スマホの機能でアプリの利用時間に上限を設定する方法もあります。

所要 3分

3

通知とおすすめ表示を切る

通知を減らす工夫は、最も続けやすかったものです[3]。切り方は通知と集中力の研究で紹介しています。

所要 5分

4

「いつ・どこで始めるか」を決めてから離れる

スマホを置いた後にやることがはっきりしていないと、別の逃げ場を探してしまいます。始める時刻まで決める方法は「いつ・どこで」を決める計画の研究が参考になります。

所要 2分

04 続けるためのコツスマホから離れる工夫を続けるには?

いきなりスマホを家に置くより、通知を減らすなど続けやすい工夫から始めます。スマホを見てしまっても、そこで責めずに次の作業の時間からやり直します。

05よくある質問

スマホを見て先延ばししてしまうのは、意志が弱いからですか?

そうとは言い切れません。スマホは、すぐに楽しめる選択肢がいつも手の届くところにある道具です。75件の研究をまとめた分析でも、スマホへの依存傾向と先延ばしには関係が見られましたが、どちらが原因かまではわかっていません。

スマホから離れるなら、どの方法がいちばん効きますか?

237人の記録では、スマホそのものから離れる、アプリを使わない、通知など特定の機能を止める、の3つで先延ばしが少なくなっていました。特定の相手とのやりとりを控えることとは、はっきりした関係がありませんでした。

スマホを家に置いていくのは難しいです。

実際に、スマホを家に置いていく工夫は守るのが難しかったと報告されています。続けやすかったのは通知を減らすことでした。まずは作業の間だけ別の部屋に置く、通知を切るなど、小さな離れ方から始められます。

出典

  1. Klingelhoefer, J., Gilbert, A., & Meier, A. (2026). Digital disconnection as a self-regulatory strategy against procrastination. Scientific Reports, 16. https://doi.org/10.1038/s41598-026-46218-1
  2. Zhou, X., Yang, F., Chen, Y., & Gao, Y. (2024). The correlation between mobile phone addiction and procrastination in students: A meta-analysis. Journal of Affective Disorders, 346, 317-328. https://doi.org/10.1016/j.jad.2023.11.020
  3. Olson, J. A., Sandra, D. A., Chmoulevitch, D., Raz, A., & Veissière, S. P. L. (2022). A nudge-based intervention to reduce problematic smartphone use: Randomised controlled trial. International Journal of Mental Health and Addiction. https://doi.org/10.1007/s11469-022-00826-w
  4. Throuvala, M. A., Griffiths, M. D., Rennoldson, M., & Kuss, D. J. (2020). Mind over matter: Testing the efficacy of an online randomized controlled trial to reduce distraction from smartphone use. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(13), 4842. https://doi.org/10.3390/ijerph17134842