睡眠

怖い夢で目が覚めたら、どう立て直す? 悪夢を「書き換える」練習(イメージリハーサル)の研究でわかったこと

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夜の天文台のドームと望遠鏡
Photo: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/M. Paredes / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

怖い夢で飛び起きて、心臓がどきどきしたまま眠れない。また同じ夢を見そうで、布団に入るのが怖くなる。そんな夜が続くのはつらいものです。研究では、昼間のうちに悪夢の筋書きを書き換え、新しい筋書きを毎日10〜20分思い浮かべる練習(イメージリハーサル)で、悪夢が減ることが繰り返し確かめられています。

3行でわかる

  1. 米国睡眠医学会は、悪夢の治療としてイメージリハーサル療法を「推奨」している。悪夢障害は米国の大人の約4%にみられる。
  2. オランダで399人が自分で取り組んだ実験では、6週間の書き換えの練習で、待機した組より悪夢の回数とつらさが減った。夢を記録するだけの組でも少し減った。
  3. 19件の実験をまとめた分析では、心理的な方法の効果は中くらい(d=0.48)。自分ひとりより専門家と一対一で行うほうが効果は大きかった。

01 悩みの正体悪夢で目が覚めると、なぜ眠れなくなる?

怖い夢のあとは気持ちが高ぶったままで、「また見るかも」という不安も加わりやすいからです。悪夢を減らす練習をすると、眠りの質もよくなったという研究があります。

悪夢は、目が覚めるほど怖い、はっきり思い出せる夢のことです。たまに見るのは珍しくありません。ただ、何度も見て昼間の生活にまで響く状態は「悪夢障害」と呼ばれ、米国の大人の約4%にみられます[1]。

研究で確かめられている方法は、夜ではなく昼に取り組みます。起きている間に、夢の筋書きを自分で作り変えて練習しておくのです[1]。悪夢を減らすと、眠りの質もよくなっていました[2]。

02 科学的にわかっていること悪夢を減らす方法で、効果が確かめられているのは?

最も確かめられているのは、悪夢の筋書きを書き換えて練習するイメージリハーサル療法です。自分で取り組む形でも、待機した組より悪夢の回数とつらさが減りました。

米国睡眠医学会(Morgenthalerら, 2018)[1]

悪夢の治療法を見直した学会の立場表明です。イメージリハーサル療法を、悪夢障害と、心の傷にともなう悪夢の両方に「推奨」しました。悪夢の内容を前向きな場面に書き換え、起きている間に1日10〜20分、新しい筋書きを思い浮かべる方法と説明されています。

種類: 研究の見直しと専門家の判断にもとづく立場表明 / 限界: 研究の多くは、心の傷を抱えた人を対象にしています。

Lanceeら(2010)[2]

悪夢に悩むオランダの399人を、くじで4つの組に分けました。6週間、自分で書き換えの練習をする組、悪夢の場面にあえて向き合う組、夢を記録するだけの組、待機の組です。書き換えの組は、待機の組より悪夢の回数とつらさ、眠りの質、不安がよくなりました。記録するだけの組も、待機の組より少しよくなりました。

対象: 悪夢のウェブサイトで募った399人。自分で取り組む形 / 限界: 効果の大きさは小〜中くらいで、本人の記録による評価です。

Augedalら(2013)[3]

悪夢の治療を調べた19件の実験(1,285人)をまとめました。心理的な方法の効果は中くらい(d=0.48)でした。専門家と一対一で行う形は、自分ひとりで取り組む形より効果が大きく、リラックスや記録だけの軽い方法は効果が小さめでした。

対象: 19件の実験、1,285人 / 限界: 1978〜2012年の研究で、方法や対象がさまざまです。

1日10〜20分

書き換えた夢の筋書きを、起きている間に思い浮かべる時間の目安[1]

Yücelら(2020)[4]

心の傷にともなう悪夢について、書き換えの練習(8件)と薬(7件)の実験をまとめました。書き換えの練習は、悪夢の回数を小〜中くらい(g=0.51)減らし、眠りの質もよくしていました。薬と比べて、効果に意味のある差はありませんでした。

対象: 15件の実験、1,078人 / 限界: 心の傷を抱えた人が対象で、ふだんの悪夢にそのまま当てはまるとは限りません。

一方で、結果が割れた例もあります。悪夢に使われてきた薬(プラゾシン)は、304人を対象にした大きな実験で、どの項目にも差が出ませんでした。学会はこれを受けて、薬の位置づけを「使ってもよい」に下げています[1]。ただし、薬の実験をまとめ直した分析では効果が見られたため、判断は分かれています[4]。

方法研究でわかったこと判定
夢を書き換えて練習する学会が推奨。自分で行っても悪夢が減った[1][2]効く
悪夢の場面にあえて向き合う書き換えと同じくらい効いた[2]効く
夢を記録するだけ待機より少しよくなった[2][3]少し効く
専門家と一対一で行うひとりで行うより効果が大きい[3]より効く

03 今日からできる小さな一歩悪夢を見た翌日、何をすればいい?

昼間に、その夢を短く書き出し、怖くない結末に書き換えます。寝る前ではなく起きている時間に、新しい筋書きを10〜20分思い浮かべる練習を数日続けます。

1

夜中に目が覚めたら、まず体を落ち着かせる

まず「夢だった」と自分に言い聞かせます。しばらくたっても眠れなければ、いったん布団を出て、静かに過ごします。理由は夜中に目が覚めたとき布団から出る研究にまとめています。

所要 5〜20分

2

翌日の昼に、夢を3〜5行で書き、結末を変える

「追いかけられる」夢なら「振り向くと相手が小さくなっていた」など、変え方は自由です。怖すぎる夢は、まず軽い悪夢から試します。

所要 10分

3

新しい筋書きを、起きている間に思い浮かべる

目を閉じ、書き換えた場面をゆっくり思い浮かべます。学会の説明では1日10〜20分です。続けるのがつらいときは、夢の記録だけでも構いません。

所要 10〜20分

04 続けるためのコツ練習しても悪夢が減らないときは?

数週間続けても減らない、または夢の内容がつらい体験と結びついているときは、睡眠の専門医や心療内科に相談するのが安心です。専門家と行う形のほうが効果は大きいと報告されています。

05よくある質問

悪夢を見ないようにする方法はありますか?

最も研究で確かめられているのは、悪夢の筋書きを怖くない内容に書き換え、起きている間に1日10〜20分思い浮かべる練習です。米国睡眠医学会が推奨しており、自分で取り組んだ399人の実験でも悪夢の回数とつらさが減りました。

悪夢の書き換えは、寝る直前にやるのですか?

米国睡眠医学会の説明では、書き換えた筋書きを思い浮かべるのは「起きている間」に1日10〜20分です。寝る直前に限る必要はなく、昼間の落ち着いた時間に行う形で説明されています。

悪夢の内容を記録するだけでも意味がありますか?

399人の実験では、夢を記録するだけの組でも、待機した組より悪夢の回数やつらさが少し減りました。ただ、書き換えの練習をした組のほうが悪夢の回数は減っていました。

出典

  1. Morgenthaler, T. I., Auerbach, S., Casey, K. R., Kristo, D., Maganti, R., Ramar, K., Zak, R., & Kartje, R. (2018). Position Paper for the Treatment of Nightmare Disorder in Adults: An American Academy of Sleep Medicine Position Paper. Journal of Clinical Sleep Medicine, 14, 1041-1055. https://doi.org/10.5664/jcsm.7178
  2. Lancee, J., Spoormaker, V. I., & van den Bout, J. (2010). Cognitive-behavioral self-help treatment for nightmares: a randomized controlled trial. Psychotherapy and Psychosomatics, 79, 371-377. https://doi.org/10.1159/000320894
  3. Augedal, A. W., Hansen, K. S., Kronhaug, C. R., Harvey, A. G., & Pallesen, S. (2013). Randomized controlled trials of psychological and pharmacological treatments for nightmares: a meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 17, 143-152. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2012.06.001
  4. Yücel, D. E., van Emmerik, A. A. P., Souama, C., & Lancee, J. (2020). Comparative efficacy of imagery rehearsal therapy and prazosin in the treatment of trauma-related nightmares in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials. Sleep Medicine Reviews, 50, 101248. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2019.101248