語呂合わせで英単語を覚えるなら、どうやる? キーワード法の研究でわかった「作ったらすぐ2回テスト」のやり方

語呂合わせで単語を覚える方法は、研究では「キーワード法」と呼ばれます。キーワード法は、作って終わりにせず、すぐに2回「思い出すテスト」をすると、後日まで残りやすいことが実験でわかっています。ただ眺めて覚え直すより、後のテストで思い出せた単語が2倍近くに増えた研究もあります。一方で、語呂合わせだけでは長く残りにくいという評価もあるため、使い方と限界をあわせて紹介します。
3行でわかる
- 音の似た言葉と意味を1つの場面にする「キーワード法」は、覚えにくい単語の入口として使える。
- キーワードを作った後に2回思い出すテストをした組は、20語中11.4語を思い出した。眺めて覚え直した組は6.5語だった。
- 語呂合わせは長期間の記憶には弱いという評価もある。日をあけた思い出す練習と組み合わせて使う。
01 悩みの正体単語がなかなか覚えられないのはなぜ?
知らない外国語の単語は、音にも形にも手がかりがないからです。キーワード法は、音の似た日本語を「橋」にして、新しい単語と意味をつなぐ手がかりを作る方法です。
キーワード法は2段階で使います[1]。
- 覚えたい単語と音や綴りが似ている、母語の言葉(キーワード)を探す。
- キーワードと単語の意味が一緒に出てくる文を作り、1つの場面として思い浮かべる。
たとえば「abandon(見捨てる)」なら、「あ、バンドを捨てる」と、楽器を道に置いていく場面を思い浮かべる、という使い方です(説明のための例で、研究で使われた単語ではありません)。
ただし、場面を作っただけでは、後で思い出す道すじが弱いままです。そこで研究者が注目したのが、作った直後に思い出す練習を組み合わせるやり方です[1][2]。思い出す練習そのものの効果は、テスト効果の研究で紹介しています。
02 科学的にわかっていること語呂合わせに思い出す練習を足すと、どれくらい違う?
中国の大学生110人の実験では、キーワードを使ってから2回テストした組が、20語中9.3〜11.4語を思い出しました。眺めて覚え直した組は6.5語、テストだけの組は4.6語でした。
Quら(2024)[1]
見たことのない英単語20語を、4つのやり方で覚えてもらいました。眺めて覚え直す組、2回テストする組、用意されたキーワードを使ってから2回テストする組、自分でキーワードを作ってから2回テストする組です。後日のテストでは、キーワードを使った2つの組が、ほかの2つの組より多く思い出しました。キーワードを自分で作った組と、用意されたものを使った組の差は、統計的にははっきりしませんでした。
対象: 英語が専攻でない中国の大学生110人(85%が女性) / 限界: 1つの大学で、具体的な名詞20語だけを調べた実験です。
11.4語
自分でキーワードを作り、2回思い出すテストをした組が、後日のテストで思い出せた単語の平均(20語中)。眺めて覚え直した組は6.5語[1]
| 覚え方 | 後日のテスト(20語中) |
|---|---|
| 自分でキーワードを作る+2回テスト | 11.39語 |
| 用意されたキーワード+2回テスト | 9.29語 |
| 眺めて覚え直す(2回) | 6.46語 |
| 2回テストするだけ | 4.64語 |
MiyatsuとMcDaniel(2019)[2]
リトアニア語の単語を、テストを1語につき2回までに限って覚えてもらいました。テストだけでは、覚え直しより成績が上がりませんでした。1週間後に測った2つの実験では、キーワードとテストを組み合わせた場合が、キーワードだけの場合より成績がよい結果でした。ただし48時間後に測った最初の実験では、組み合わせてもキーワードだけと差がありませんでした。
対象: 3つの実験の参加者 / 限界: 組み合わせの効果は、テストの間隔や回数で変わりました。
Camposら(2010)・PycとRawson(2010)[3][4]
平均59歳の大人がラテン語16語を覚えた実験では、ほかの参加者が考えたキーワードを使った組が、くり返し唱えて覚えた組より、直後も1日後も多く思い出しました[3]。別の研究では、テストしながら覚えると、単語と意味をつなぐ手がかり(キーワードなど)を後で思い出しやすくなることが示されています[4]。
対象: スペイン語を話す大人(平均59.35歳)、外国語の訳語を覚えた参加者 / 限界: どちらも実験室で、少ない単語を覚えた研究です。
Dunloskyら(2013)[5]
10種類の勉強法の研究をまとめた総説では、キーワード法は「効果が使える場面が限られる」と評価されました。理由は、使いにくい教材があること、効果が見られたのが限られた教材と短い期間だったことです。高く評価されたのは、思い出す練習と、間隔をあけた復習でした。
対象: 勉強法の研究をまとめた総説 / 限界: キーワード法と思い出す練習を組み合わせた最近の研究は、まだ少数です。
03 今日からできる小さな一歩キーワード法で単語を覚えるには、どうする?
覚えにくい単語だけを選び、音の似た言葉で1つの場面を作ります。作ったらすぐ、単語だけを見て意味を2回思い出します。翌日以降も、日をあけて思い出す練習を続けます。
何度見ても覚えられない単語を5〜10語選ぶ
全部の単語に使う必要はありません。キーワード法は使える教材が限られる、という評価があるためです[5]。研究で使われたのは、目に見える物の名前でした[1]。
所要 2分
音の似た言葉で、意味と一緒の場面を作る
思いつかなければ、本やほかの人の語呂合わせを借りてもかまいません。自分で作った場合と、用意されたものを使った場合で、後日の成績にはっきりした差はありませんでした[1]。
所要 1語10〜30秒
すぐに、単語だけを見て意味を思い出す(2回)
意味を手で隠し、単語だけを見て答えます。全部終わったら、もう1回くり返します。実験の組み合わせは「作る→2回テスト」でした[1]。
所要 3分
翌日以降も、日をあけて思い出す
語呂合わせは長い期間の記憶には弱いという評価があります[5]。間をあけた思い出す練習で、記憶を支えます。すぐ意味が出るようになった単語は、語呂合わせを経由しなくてかまいません。
所要 1日5分
04 続けるためのコツ語呂合わせが思いつかないときは?
無理に作らず、借りるか、その単語は思い出す練習だけで覚えます。キーワード法は、何度やっても覚えられない単語のための補助と考えると続けやすくなります。
- 1語に時間をかけすぎない。30秒で浮かばなければ、借りるか飛ばす。
- 場面は、動きのある、はっきりした絵にする。文字だけの語呂より、思い浮かべる場面が手がかりになる[1]。
- 復習の間隔は、復習のタイミングの研究を目安にする。
- 覚えたはずなのに忘れる理由は、忘却曲線の研究で紹介しています。
05よくある質問
語呂合わせで覚えた単語は、すぐ忘れてしまいますか?
語呂合わせだけでは、長く残りにくいという評価があります。Dunloskyら(2013)の総説は、キーワード法の効果が見られたのは限られた教材と短い期間だったとしています。一方、Quら(2024)の実験では、キーワードを作った後に2回思い出すテストをすると、後日のテストで眺めて覚え直すより多く思い出せました。作った後の思い出す練習と、日をあけた復習を組み合わせて使います。
語呂合わせは自分で作ったほうが覚えやすいですか?
はっきりした差は見られていません。Quら(2024)の実験では、自分で作った組が20語中11.39語、用意されたものを使った組が9.29語を思い出しましたが、この差は統計的にははっきりしませんでした。思いつかないときは、本などの語呂合わせを借りてもかまいません。
テストを1〜2回するだけでは、効果はありませんか?
テストの回数が少ないと、テストだけでは効果が出にくいことがあります。MiyatsuとMcDaniel(2019)やQuら(2024)の実験では、テストが1語につき2回だけの場合、テストだけでは覚え直しより成績が上がりませんでした。キーワードと組み合わせたときに、2回でも成績がよくなりました。
出典
- Qu, K., Liu, T., Qiao, Y., & Wang, P. (2024). The facilitative effect of the keyword mnemonic on L2 vocabulary retrieval practice. Heliyon, 10(3), e25212. https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e25212
- Miyatsu, T., & McDaniel, M. A. (2019). Adding the keyword mnemonic to retrieval practice: A potent combination for foreign language vocabulary learning? Memory & Cognition, 47(7), 1328-1343. https://doi.org/10.3758/s13421-019-00936-2
- Campos, A., Pérez-Fabello, M. J., & Camino, E. (2010). Efficacy of the keyword mnemonic method in adults. Psicothema, 22(4), 752-757. https://europepmc.org/article/MED/21044509
- Pyc, M. A., & Rawson, K. A. (2010). Why testing improves memory: Mediator effectiveness hypothesis. Science, 330(6002), 335. https://doi.org/10.1126/science.1191465
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266


