コーヒーを飲むとトイレに行きたくなるのはなぜ? 大腸が動き出す仕組みを研究で調べた

朝のコーヒーを飲むと、しばらくしてトイレに行きたくなる。通勤前だと少し困りますよね。研究では、コーヒーで便意を感じる人は約3割でした。そうした人では、飲んで4分ほどで大腸の終わりの部分が動き出していました。カフェインを抜いたコーヒーでも同じことが起きたため、原因はカフェインだけではないと考えられています。
3行でわかる
- 99人への調査では、29%が「コーヒーを飲むと便意が起きる」と答えました。全員に起きるわけではありません。
- 便意を感じる人では、コーヒーを飲んで4分以内に大腸の動きが強まり、少なくとも30分続きました。強さは1000kcalの食事に近いものでした。
- カフェインを抜いたコーヒーでも大腸は動いたため、カフェイン以外の成分や、胃腸のホルモンが関わると考えられています。ただ、詳しい仕組みはまだわかっていません。
01 悩みの正体コーヒーで便意が起きるのは、なぜ?
コーヒーで便意が起きるのは、一部の人で、飲んですぐに大腸の終わりの部分(直腸とS状結腸)の動きが強まるからです。胃に入ってから数分のことなので、コーヒーが腸まで届いた結果ではありません。
1990年のイギリスの研究では、17〜27歳の健康な99人に、飲みものとお通じの関係をたずねました。29%が「コーヒーを飲むと便意が起きる」と答えています。
そのうえで14人に、砂糖を入れないブラックコーヒーを飲んでもらいました。腸の中に細い管を入れて、筋肉の動きを測っています。便意を感じる8人では、飲んで4分以内に動きが強まりました。感じない6人では変わりませんでした。お湯を飲んだときは、だれの腸も強く動きませんでした。
4分は、コーヒーが大腸まで流れていくには短すぎます。そのため、胃に入ったコーヒーが、胃腸のホルモンなどを通じて離れた大腸に影響していると考えられています(02で詳しく)。
02 科学的にわかっていることカフェインのせい? それとも別の成分?
カフェインだけのせいではありません。カフェインを抜いたコーヒーでも大腸は動きました。ただ、ふつうのコーヒーのほうがやや強く、カフェインも一部は関わっているようです。
| 研究 | わかったこと |
|---|---|
| 99人への調査 [1] | 29%がコーヒーで便意が起きると回答 |
| 腸の動きの測定・14人 [1] | 便意を感じる8人では、ふつうのコーヒーでもカフェインなしでも4分以内に動きが強まった |
| 腸の動きの測定・12人 [2] | ふつうのコーヒーは水より60%、カフェインなしより23%強く大腸を動かし、食事並みだった |
| 直腸の張りの測定・8人 [3] | コーヒーで45%、温かい水でも30%高まり、両者に差はなかった |
Raoら(1998)[2]
健康な12人の大腸に、6か所で圧を測るセンサーを入れました。翌日、ブラックコーヒー(カフェイン150mg)、カフェインを抜いたコーヒー、水を240mLずつ、順番を変えて飲んでもらい、1000kcalの食事もとってもらいました。ふつうのコーヒーは、食事と同じくらい大腸を動かしました。強さは水より60%、カフェインなしのコーヒーより23%上でした。
対象: 健康な大人12人 / 限界: 人数が少なく、カフェインなしのコーヒーと水の差は、はっきりしませんでした。
Slootsら(2005)[3]
濃いコーヒー280mLと温かい水を、日を分けて8人に飲んでもらい、直腸の張りを測りました。30分後、コーヒーで45%、温かい水でも30%張りが高まりました。コーヒーと水の差は統計的にはっきりしませんでした。
限界: 1990年の研究ではお湯で腸は動かなかったので、結果が食い違っています。測った場所や方法が違います。
Boekemaら(1999)、Nehlig(2022)の総説 [4][5]
コーヒーにはカロリーがほとんどありません。量や酸っぱさでも説明できないため、何かの成分が薬のように働いていると考えられています。コーヒーは胃腸のホルモン(ガストリンやコレシストキニン)を増やすことがわかっており、これが大腸への合図の候補です。
限界: 2022年の総説も、どの成分が大腸を動かすのかは「詳しく調べられていない」と書いています。
03 今日からできる小さな一歩コーヒーの便意と、どうつきあう?
便意は飲んで数分から30分ほどの間に来やすいので、家を出る30分以上前に飲み終えると安心です。カフェインなしに替えても、便意が消えるとは限りません。
家を出る30分以上前に飲む
動きが強まるのは飲んで4分以内で、少なくとも30分続きました。通勤や通学の途中で困る人は、飲む時間を前にずらします。
所要 0分
朝ごはんと一緒に飲む
食事も大腸を動かします。便意をまとめて家で済ませたい人は、朝ごはんとコーヒーを同じ時間にすると予定が立てやすくなります。
所要 10分
デカフェは「弱まるかも」くらいに考える
カフェインなしでも、便意を感じる人の腸は動きました。強さはふつうのコーヒーより少し弱い程度です。
所要 0分
04 続けるためのコツ便秘のときにコーヒーは頼れる?
コーヒーで腸が動く人なら、朝の1杯がお通じのきっかけになる可能性はあります。ただ、効く人は約3割で、便秘そのものを治すと確かめた試験は見当たりません。
- 効くのは一部の人: 99人の調査で便意を感じたのは29%でした。自分が当てはまるかは、飲んだあとの様子で判断します [1]。
- 手術のあとの研究では効いた: お腹の手術後の32の試験(4999人)をまとめた分析では、コーヒーで最初の排便までの時間と入院日数が短くなりました。題名には「カフェインではなく、コーヒー」とあります [6]。
- カフェインはとりすぎない: アメリカの1万2759人の調査では、カフェインが1日約200mgまでは多いほど便秘が少なく、それを超えると逆に少し多くなっていました。ある時点の調査なので、原因とまでは言えません [7]。
- 量と時間も気にする: 集中したいときの量はコーヒーと集中の記事、夜の眠りへの影響はカフェインは何時間前までの記事にまとめています。
05よくある質問
デカフェ(カフェインレス)でもトイレに行きたくなる?
なることがあります。1990年の研究では、コーヒーで便意を感じる8人の腸は、カフェインを抜いたコーヒーでも4分以内に動きが強まりました。1998年の研究では、ふつうのコーヒーのほうが23%強い程度でした。
お湯や水を飲んでもトイレに行きたくなる?
研究で結果が分かれています。1990年の研究ではお湯で腸は動きませんでした。一方、2005年の研究では温かい水でも直腸の張りが30%高まり、コーヒー(45%)との差ははっきりしませんでした。
コーヒーで便意が来ない人はおかしい?
おかしくありません。99人の調査で、コーヒーで便意を感じたのは29%でした。腸の動きを測った研究でも、便意を感じない人では動きは強まりませんでした。
出典
- Brown SR, Cann PA, Read NW (1990). Effect of coffee on distal colon function. Gut, 31(4), 450-453. https://doi.org/10.1136/gut.31.4.450
- Rao SS, Welcher K, Zimmerman B, Stumbo P (1998). Is coffee a colonic stimulant? European Journal of Gastroenterology & Hepatology, 10(2), 113-118. https://doi.org/10.1097/00042737-199802000-00003
- Sloots CE, Felt-Bersma RJ, West RL, Kuipers EJ (2005). Stimulation of defecation: effects of coffee use and nicotine on rectal tone and visceral sensitivity. Scandinavian Journal of Gastroenterology, 40(7), 808-813. https://doi.org/10.1080/00365520510015872
- Boekema PJ, Samsom M, van Berge Henegouwen GP, Smout AJ (1999). Coffee and gastrointestinal function: facts and fiction. A review. Scandinavian Journal of Gastroenterology Supplement, 230, 35-39. https://doi.org/10.1080/003655299750025525
- Nehlig A (2022). Effects of Coffee on the Gastro-Intestinal Tract: A Narrative Review and Literature Update. Nutrients, 14(2), 399. https://doi.org/10.3390/nu14020399
- Sinz S, et al. (2023). Gum Chewing and Coffee Consumption but not Caffeine Intake Improve Bowel Function after Gastrointestinal Surgery: a Systematic Review and Network Meta-analysis. Journal of Gastrointestinal Surgery, 27, 1730-1745. https://doi.org/10.1007/s11605-023-05702-z
- Yang X, Yan H, Chen Y, Guo R (2025). Association Between Caffeine Intake and Bowel Habits and Inflammatory Bowel Disease: A Population-Based Study. Journal of Multidisciplinary Healthcare, 18, 3717-3726. https://doi.org/10.2147/JMDH.S512855


