食べもの

辛いものを食べると汗や鼻水が出るのはなぜ? 体が「熱い」と受け取る仕組みを研究で調べた

約7分で読めます

赤唐辛子
Photo: Vyacheslav Argenberg / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

激辛ラーメンを食べると、額から汗が流れ、鼻水も止まらない。風邪でもないのに不思議ですよね。研究の答えは「体が本当に熱いと受け取って、反射で汗と鼻水を出している」です。唐辛子の成分は、熱を感じるセンサーを動かします。その信号が神経の反射を起こし、汗腺や鼻の分泌腺が働きます。多くの人に起きるふつうの反応です。

3行でわかる

  1. 唐辛子のカプサイシンは、43℃ほどの熱で反応するセンサー(TRPV1)を動かします。口は熱くないのに、脳には「熱い」という信号が届きます。
  2. 鼻水は、口の刺激から起きる神経の反射です。12人の実験では、鼻の神経の信号を止める薬を先に使うと、辛いものを食べても鼻水が出ませんでした。アレルギーとは仕組みが違います。
  3. 571人の調査では69%が「食べもので鼻水が出る」と答え、原因で最も多いのは唐辛子(49%)でした。汗も辛いものでは生理的な反応とされますが、どんな食事でも汗が出るなら相談の目安になります。

01 悩みの正体辛いものを食べると、体は何を感じている?

辛さは味ではなく、熱さと痛みの感覚です。唐辛子のカプサイシンが、熱いものに反応するセンサーを動かします。そのため脳は、口の中が本当に熱いと受け取ります。

舌には、甘い・しょっぱいを感じる仕組みとは別に、熱さや痛みを感じる神経があります。その神経には、TRPV1(ティーアールピーブイワン)というセンサーがついています。

TRPV1は、43℃前後より熱いものにふれると働きます [2]。カテリナらの研究(1997年)で、唐辛子のカプサイシンも同じセンサーを動かすことがわかりました [1]。

つまり、辛いものを食べると、口の温度は変わらなくても「熱い」という信号が出ます。熱さ・辛さ・酸っぱさは、このセンサーの反応を互いに強め合うこともわかっています [2]。汗や鼻水は、この「熱い」信号から始まる体の反応です。

02 科学的にわかっていること辛いもので鼻水と汗が出る仕組みは?

鼻水は、口の神経の刺激が反射になって、鼻の分泌腺を働かせるために出ます。汗は、体が熱いと受け取って出す反応と考えられています。どちらも多くの人に起きる、ふつうの反応です。

起きること体の中で起きていること出典
口がヒリヒリ熱いカプサイシンが、熱い物で反応するセンサー(TRPV1)を動かす[1][2]
鼻水がたらたら出る口の神経の刺激が反射になり、鼻の分泌腺から水っぽい鼻水を出させる。アレルギーではない[2][3]
顔や頭に汗をかく体が熱いと受け取り、汗を出す反応が起きる(味覚性発汗)[5][8]
食べ慣れると平気になるくり返し刺激されると、センサーの反応が鈍くなる(脱感作)[5][6]

Raphaelら(1989、米国)[3]

12人に、鼻水が出る食べもの(唐辛子など)と、出ない食べもの(クラッカーなど)を食べてもらいました。鼻水が出る食べものでは全員に鼻水が出ました。10分後の鼻の洗浄液では、アルブミンが7.8から24.5mg/Lに、たんぱく質全体が79から258mg/Lに増えました。鼻の神経の信号を止める薬(アトロピン)を先に鼻に使うと、鼻水はほぼ出ませんでした。

対象: 12人 / 限界: 少人数の実験です。洗浄液のヒスタミンは低いままで、アレルギーの反応ではないと考えられています [2]。

Waibel & Chang(2008、米国)[4]

皮膚科の外来に来た子どもと大人571人に、食べたあとの鼻水についてたずねました。396人(69%)が、少なくとも1つの食べもので鼻水が出ると答えました。原因で最も多いのは唐辛子(49%)、最も少ないのはパン(6%)でした。65%は原因の食べものを避けたことがなく、46%は鼻水を一度も気にしたことがありませんでした。

対象: 外来患者571人のアンケート / 限界: 自己申告です。アレルギー性鼻炎のある人や、たばこを吸ったことがある人ほど多く答えていました。

Shusterman(2023、レビュー)[2]

鼻と口の神経の研究をまとめた論文です。43人を調べた別の研究では、辛いものを食べると「鼻水が出る」の評価が8倍に上がりました。鼻の神経の信号を止める薬を先に使うと、その増え方はほぼなくなりました。著者は、辛いものの鼻水を、脳を経由する神経の反射とまとめています。

限界: 鼻水の研究は少人数のものが中心です。

Ludy & Mattes(2011、米国)[6]

25人の若い大人に、赤唐辛子1gを入れた食事と入れない食事を食べてもらいました。唐辛子入りのほうが、食後の体の中心の温度とエネルギー消費が高く、皮ふの温度は低くなりました。ふだん辛いものを食べない人では、その後の食事量も減りましたが、食べ慣れた人では減りませんでした。

対象: 25人(辛いものをよく食べる人13人、食べない人12人) / 限界: 1回の食事での結果です。論文の要旨とレビュー [5] で内容を確かめました。

「辛いものは汗で体を冷やす天然のエアコン」という説があります。暑い国で辛い料理が好まれる理由として出された考えです。ただしレビューでは、寒い国でも辛い料理が好まれることなどから、それだけでは説明しきれないとされています [5]。

03 今日からできる小さな一歩辛いものの汗や鼻水を、少なくするには?

熱々のまま食べず少し冷ます、辛さを一段下げるのが手軽です。鼻水は反射なので、ティッシュを用意して気にしすぎないことも大切です。食事のたびに困るなら耳鼻科に相談できます。

1

熱々のスープは、少し冷ましてから食べる

熱さと辛さは同じセンサーを動かし、反応を強め合います [2]。熱いスープの激辛料理は、少し置いてから食べます。

所要 1〜2分待つだけ

2

辛さを一段下げて注文する

汗や鼻水は、辛さの刺激から始まる反応です。汗をかきたくない場面では、辛さの段階を下げます。

所要 0分

3

ハンカチとティッシュを先に用意する

辛いものの鼻水は、食べはじめて数分で出ることが多いとされます [7]。鼻をかむ準備をしてから食べはじめると慌てずにすみます。

所要 30秒

4

毎回困るなら、耳鼻科で相談する

辛いものの鼻水には、食事の前に使う点鼻薬が効いたという報告があります [2][7]。薬は医師に相談して使ってください。

所要 受診1回

04 続けるためのコツ辛いものを楽しみながら付き合うには?

辛いものの汗や鼻水は、多くの人に起きる体の反射で、心配しすぎる必要はありません。ただし、辛くない食事でも汗が出るときは、別の原因がないか確かめる目安になります。

05よくある質問

辛いものを食べると鼻水が出るのはアレルギー?

アレルギーではないと考えられています。辛いものの鼻水は、口の神経の刺激から起きる反射です。12人の実験では、鼻の洗浄液のヒスタミンは低いままで、鼻の神経の信号を止める薬を先に使うと鼻水はほぼ出ませんでした。

辛いものを食べて汗をかくのは体に悪い?

辛いもので汗をかくのは、生理的な反応とされています。体が熱いと受け取って出す反応です。ただし辛くない食事でも汗がよく出る場合は、糖尿病などに伴うことがあるため、医師に相談する目安になります。

辛いものに慣れると、汗や鼻水は減る?

減る可能性があります。辛さのセンサーは、くり返し刺激されると反応が鈍くなる性質があります。25人の実験でも、ふだん辛いものを食べない人にだけ、唐辛子で食事量が減る反応が見られました。

辛いもので鼻水が出る人はどれくらいいる?

かなり多くいます。571人の調査では69%が、少なくとも1つの食べもので鼻水が出ると答えました。原因で最も多かったのは唐辛子で、49%でした。

出典

  1. Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D (1997). The capsaicin receptor: a heat-activated ion channel in the pain pathway. Nature, 389, 816-824. https://doi.org/10.1038/39807
  2. Shusterman D (2023). Trigeminal Function in Sino-Nasal Health and Disease. Biomedicines, 11(7), 1778. https://doi.org/10.3390/biomedicines11071778
  3. Raphael G, Raphael MH, Kaliner M (1989). Gustatory rhinitis: a syndrome of food-induced rhinorrhea. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 83(1), 110-115. https://doi.org/10.1016/0091-6749(89)90484-3
  4. Waibel KH, Chang C (2008). Prevalence and food avoidance behaviors for gustatory rhinitis. Annals of Allergy, Asthma & Immunology, 100(3), 200-205. https://doi.org/10.1016/S1081-1206(10)60443-7
  5. Szallasi A (2022). Dietary Capsaicin: A Spicy Way to Improve Cardio-Metabolic Health? Biomolecules, 12(12), 1783. https://doi.org/10.3390/biom12121783
  6. Ludy MJ, Mattes RD (2011). The effects of hedonically acceptable red pepper doses on thermogenesis and appetite. Physiology & Behavior, 102(3-4), 251-258. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2010.11.018
  7. Jovancevic L, Georgalas C, Savovic S, Janjevic D (2010). Gustatory rhinitis. Rhinology, 48(1), 7-10. https://doi.org/10.4193/Rhin07.153
  8. Klarskov CK, von Rohden E, Thorsteinsson B, Tarnow L, Lommer Kristensen P (2021). Gustatory sweating in people with type 1 and type 2 diabetes mellitus: Prevalence and risk factors. Endocrinology, Diabetes & Metabolism, 4(4), e00290. https://doi.org/10.1002/edm2.290