睡眠

寝る前のハーブティー(カモミールなど)で眠りは良くなる? 10の試験のメタ分析と不眠の試験で確かめた

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ガラスの器に入ったハーブティー
Photo: PagesAndPathsPH / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

眠れない夜に、温かいカモミールティーを1杯。昔からある方法ですが、研究で確かめると「少し良くなる可能性はあるが、不眠を治すほどの根拠はない」という結果でした。メタ分析では睡眠の質の点数がやや改善した一方、慢性の不眠の人の試験では偽薬と差が出ませんでした。

3行でわかる

  1. カモミールの10の試験(772人)をまとめたメタ分析では、睡眠の質の点数(0〜21点、低いほど良い)が平均1.88点下がりました。ただし試験ごとの結果のばらつきは大きいものでした。
  2. 慢性の不眠の人34人の試験では、寝つきや睡眠時間に偽薬との差は出ませんでした。睡眠時間や日中の調子は、メタ分析でも改善していません。
  3. ティーではなく、抽出物のカプセルで試した試験もあります。ティーで試すなら「くつろぐ習慣の1つ」と考え、眠れない日が続くときは別の方法も組み合わせます。

01 悩みの正体ハーブティーで眠くなるのは、なぜ?

動物などの研究では、カモミールの成分(アピゲニン)が、脳の興奮をしずめる仕組みに働くと考えられています。ただ、人で眠りがはっきり良くなるかは、試験によって結果が分かれています。

カモミールは、眠りのために最もよく使われているハーブの1つです。動物などの研究からは、成分のアピゲニンが、脳の興奮をしずめる神経の仕組み(GABA受容体)に働き、眠気を誘う可能性が示されています[3]。ただし、仕組みはまだ完全にはわかっていません。

ただし、試験管や動物で見られる働きと、人が1杯飲んで眠れるかは別の話です。温かい飲み物を飲んで一息つく時間そのものが、くつろぐきっかけになっている可能性もあります。

カフェインを含まないことも、ハーブティーの利点です。夜のコーヒーや緑茶が眠りに響く時間の目安はカフェインと睡眠の研究で紹介しています。

02 科学的にわかっていることカモミールティーは、睡眠に効く?

睡眠の質の点数がやや良くなる、という結果がメタ分析で出ています。ただし試験の質や結果のばらつきが大きく、慢性の不眠の人では偽薬と差が出なかった試験もあり、判定は「効果は小さく、条件しだい」です。

Kazemiら(2024)[1]

カモミールの臨床試験10件(772人)をまとめたメタ分析です。5件の試験の統合で、睡眠の質の点数(PSQI)は平均1.88点下がりました。夜中に目が覚める回数は3件中2件で改善しましたが、睡眠時間・睡眠効率・日中の疲れは改善しませんでした。

対象: 健康な人や病気のある成人の10試験 / 限界: 結果のばらつきが大きく(I² = 88.4%)、副作用を積極的に調べた試験は1件だけ、製品の中身を検査した試験も1件だけでした。

Hieuら(2019)[2]

12のランダム化比較試験をまとめたメタ分析です。カモミールで睡眠の質は改善しました(標準化平均差 −0.73)。一方、不眠の重さを調べた試験は1件だけで、不眠の重さの点数に差は出ませんでした。

対象: 12の試験(不安や睡眠を調べたもの) / 限界: 著者ら自身が、不眠への効果を示す根拠は乏しく、より大きな試験が必要だとしています。

Zickら(2011)[3]

6か月以上の慢性の不眠がある34人に、カモミール抽出物(270mgを1日2回)か偽薬を28日間飲んでもらいました。睡眠時間・寝つき・夜中に起きている時間・睡眠の質のどれも、偽薬との差は有意ではありませんでした。

対象: 18〜65歳の慢性不眠の34人 / 限界: 予備的な小さな試験です。寝つきなどはカモミールに有利な中くらいの効果量でしたが、睡眠時間はむしろ偽薬に有利でした。

Chang・Chen(2016)[4]

眠りの質が悪い台湾の産後の女性80人を、カモミールティーを2週間飲む群と、通常のケアだけの群に分けました。飲んだ群は、体の症状による眠りの悪さと、気分の落ち込みの点数が低くなりました。しかし開始から4週間の時点では、2つの群の差はなくなっていました。

対象: 産後の女性80人 / 限界: 比べた群は偽のティーを飲んでいないため、「飲む時間をとった」こと自体の影響と区別できません。

Adib-Hajbagheryら(2017)[5]

介護施設に通う60歳以上の60人に、カモミール抽出物のカプセル(200mgを1日2回)か小麦粉のカプセルを28日間飲んでもらいました。終了後、カモミール群の睡眠の質は対照群より有意に良くなっていました。

対象: イランの高齢者60人 / 限界: 単盲検(参加者だけが中身を知らない)の小さな試験で、ティーではなくカプセルです。

Ngan・Conduit(2011)[6]

18〜35歳の41人が、パッションフラワーのティーと偽のティーを1週間ずつ、毎晩1杯飲み比べました。睡眠日記の6項目のうち、眠りの質の評価だけがパッションフラワーで良くなりました。

対象: 眠りに軽いむらがある健康な41人 / 限界: 他の5項目には差がなく、1週間ずつの短い試験です。

試験飲んだ形対象眠りへの結果
Chang・Chen(2016)カモミールティー 2週間産後の女性80人飲んでいる間は改善、4週間後は差なし
Adib-Hajbaghery(2017)抽出物カプセル 28日高齢者60人睡眠の質が改善
Zick(2011)抽出物カプセル 28日慢性不眠の34人偽薬と差なし
Ngan・Conduit(2011)パッションフラワーティー 1週間健康な若い人41人眠りの質の評価だけ改善

この表は、上の試験の飲み方と結果を、このサイトで並べたものです。ティーで試した試験は少なく、効果が見られたのは「眠りの満足感」が中心でした。

03 今日からできる小さな一歩ハーブティーを試すなら、どう飲む?

寝る直前ではなく、寝る1時間ほど前に1杯をゆっくり飲みます。2週間続けて、眠りの満足感を簡単に記録し、変化がなければ別の方法に切り替えます。

1

寝る1時間ほど前に1杯

試験の多くは、2週間〜4週間続けて変化を見ていました[1]。寝る直前にたくさん飲むと夜中のトイレで起きやすくなるため、早めに少なめにするのは研究から考えた工夫です。

所要 10分

2

朝に「よく眠れた感じ」を5段階でつける

効果が出たのは主に眠りの満足感だったため[1][6]、朝の感覚を記録すると、自分に合っているかを判断しやすくなります。

所要 30秒

3

2週間で変わらなければ、別の方法へ

慢性の不眠の人の試験では、偽薬と差が出ませんでした[3]。寝つけない夜の過ごし方は刺激制御法の研究で、入浴のタイミングは入浴と寝つきの研究で紹介しています。

所要 2週間

04 続けるためのコツハーブティーで眠れないときは、どうする?

ハーブティーは、眠りを治すものではなく、くつろぐ習慣の1つと考えます。眠れない日が続いて日中もつらいときは、生活の工夫を見直し、医師に相談してください。

05よくある質問

カモミールティーを飲むと眠れるようになる?

眠りの満足感が少し良くなる可能性はありますが、確かな根拠はまだ弱いです。10の試験(772人)のメタ分析では、睡眠の質の点数(PSQI、0〜21点)が平均1.88点下がりました。一方、慢性の不眠の人34人の試験では、寝つきや睡眠時間に偽薬との差は出ませんでした。

何日くらい飲めば効果がわかる?

研究では2週間〜4週間続けた例が多くありました。産後の女性80人の試験では、2週間飲んだ直後は睡眠の点数が良くなりましたが、開始から4週間の時点では差がなくなっていました。続けている間だけの効果と考えるのが研究に沿っています。

カモミール以外のハーブティーでも効く?

パッションフラワーのティーでは、18〜35歳の41人が1週間ずつ飲み比べた試験で、偽のティーより眠りの質の評価が良くなりました。ただし睡眠日記の6項目のうち差が出たのはこの1項目だけで、短い期間の小さな試験です。

出典

  1. Kazemi, A., Shojaei-Zarghani, S., Eskandarzadeh, P., & Hashempur, M. H. (2024). Effects of chamomile (Matricaria chamomilla L.) on sleep: A systematic review and meta-analysis of clinical trials. Complementary Therapies in Medicine, 84, 103071. https://doi.org/10.1016/j.ctim.2024.103071
  2. Hieu, T. H., Dibas, M., Surya Dila, K. A., Sherif, N. A., Hashmi, M. U., Mahmoud, M., et al. (2019). Therapeutic efficacy and safety of chamomile for state anxiety, generalized anxiety disorder, insomnia, and sleep quality: A systematic review and meta-analysis of randomized trials and quasi-randomized trials. Phytotherapy Research, 33(6), 1604–1615. https://doi.org/10.1002/ptr.6349
  3. Zick, S. M., Wright, B. D., Sen, A., & Arnedt, J. T. (2011). Preliminary examination of the efficacy and safety of a standardized chamomile extract for chronic primary insomnia: A randomized placebo-controlled pilot study. BMC Complementary and Alternative Medicine, 11, 78. https://doi.org/10.1186/1472-6882-11-78
  4. Chang, S. M., & Chen, C. H. (2016). Effects of an intervention with drinking chamomile tea on sleep quality and depression in sleep disturbed postnatal women: A randomized controlled trial. Journal of Advanced Nursing, 72(2), 306–315. https://doi.org/10.1111/jan.12836
  5. Adib-Hajbaghery, M., & Mousavi, S. N. (2017). The effects of chamomile extract on sleep quality among elderly people: A clinical trial. Complementary Therapies in Medicine, 35, 109–114. https://doi.org/10.1016/j.ctim.2017.09.010
  6. Ngan, A., & Conduit, R. (2011). A double-blind, placebo-controlled investigation of the effects of Passiflora incarnata (passionflower) herbal tea on subjective sleep quality. Phytotherapy Research, 25(8), 1153–1159. https://doi.org/10.1002/ptr.3400