睡眠

寝る前に音楽を聴くと眠れる? どんな曲を何分聴けばいいか、研究でわかったやり方

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Photo: Florian Fuchs / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

布団に入っても眠れない夜、音楽をかけてみようかと考える人は多いはずです。不眠ぎみの大人の研究をまとめたコクラン・レビューでは、寝る前に落ち着いた音楽を1日25〜60分聴くと、本人が感じる眠りの質がよくなっていました。一方で、機器で測った睡眠は変わらず、耳に残る曲はかえって眠りを妨げたという実験もあります。どんな曲を、いつ、どれくらい聴けばいいのかを研究から整理します。

3行でわかる

  1. 13件・1007人の研究のまとめでは、寝る前に音楽を聴くと、本人が答える眠りの質(PSQI)が平均2.79点よくなった。証拠の確かさは「中程度」。
  2. 研究で使われたのは、ゆっくり(1分間に52〜85拍)で、強いリズムのない曲。毎日1回、25〜60分、多くは寝るときに聴いていた。
  3. 機器で測った寝つきや睡眠時間には差がなく、口ずさめるポップ曲を寝る前に聴いた実験では、頭の中で曲が回りやすく眠りが浅くなった。

01 悩みの正体音楽を聴くと、なぜ眠りやすくなる?

音楽が眠りを助ける理由として、気持ちが落ち着く、考えごとから気がそれる、周りの物音が気にならなくなる、などが挙げられています。ただし、どの仕組みが効いているのかは、まだはっきりしていません。

眠りに音楽を使う人は少なくありません。イギリスを中心とした651人のオンライン調査では、62%が「眠るために音楽を使ったことがある」と答えました[4]。理由としては「気持ちがリラックスする」(96%)、「その日のストレスから気がそれる」(92%)が多く挙がりました[4]。

音楽と睡眠の研究を整理したレビューでは、リラックス、気をそらす、リズムに体が合う、物音を隠す、楽しさ、期待の6つの仕組みが考えられています。そのうち比較的支持があったのは「物音を隠す」働きで、「ゆっくりした拍に体が合う」という説の裏づけは、まだ混ざった結果でした[6]。

寝る前の考えごとが止まらない場合は頭の中で場面を描く「イメージそらし」、物音が気になる場合はホワイトノイズの研究もあわせて読んでみてください。

02 科学的にわかっていること寝る前の音楽は、どれくらい眠りを変える?

不眠ぎみの大人では、寝る前の音楽で本人が感じる眠りの質がよくなるという結果が、複数の研究のまとめで一致しています。ただし、機器で測った睡眠には差がなく、曲によってはかえって眠りを乱すこともあります。

Jespersenら(2022)コクラン・レビュー[1]

不眠の症状がある18〜83歳の大人を対象に、音楽を聴くグループと、何もしない・通常のケアのグループをくらべた13件(1007人)の研究をまとめました。音楽を聴いた人は、眠りの質のアンケート(PSQI)が平均2.79点よくなりました(10件・708人)。著者らは、これを標準偏差1つ分ほどの差としています。研究者が選んだ曲と、本人が候補から選んだ曲のあいだに、はっきりした差はありませんでした。

対象: 8か国の研究、1007人 / 限界: 参加者は自分が音楽を聴いているとわかるため、思い込みの影響を除けません。睡眠ポリグラフ(機器)で測った3件・136人では、寝つきや睡眠効率の改善は見られませんでした。

平均 2.79点

寝る前に音楽を聴いた人で、眠りの質のアンケート(PSQI、点が低いほどよい)が改善した幅(10件・708人のまとめ、証拠の確かさは中程度)[1]

Fengら(2018)[2]

不眠症の大人1339人を含む20件の研究で、12種類の方法をくらべました。眠りの質のアンケートでは「音楽を聴く」が最もよい順位になり、寝つくまでの時間も、通常のケアより短くなっていました。

対象: 原発性不眠症の大人1339人 / 限界: 中国の研究データベースを含む小さな研究が多く、睡眠効率は「改善の傾向」にとどまりました。

Chenら(2021)[3]

60歳以上を対象にした5件のランダム化比較試験をまとめました。音楽で眠りの質がよくなり、強いリズムの曲より、ゆったりした鎮静的な曲のほうが改善が大きくなりました。4週間より長く聴いた場合にも、改善が見られました。

対象: 60歳以上の高齢者 / 限界: 研究が5件と少なく、高齢者以外にそのまま当てはまるかはわかりません。

Scullinら(2021)[5]

若い大人50人が寝る前に、ヒット曲3曲の歌ありの版か、歌なし(インストゥルメンタル)の版を聴いてから眠り、睡眠を機器で測りました。歌なしの版を聴いた人のほうが、夜中に曲が頭の中で回る「イヤーワーム」が起きやすく、寝つくまでが長く、眠りの効率が下がりました。別の199人の調査でも、夜にイヤーワームが起きる人は、眠りの悪い人が多い結果でした。

対象: アメリカの若い大人(実験は50人、1晩) / 限界: 使ったのは口ずさめるポップ曲で、眠り向けの静かな曲ではありません。「歌のない曲はすべてよくない」という意味ではありません。

聴き方研究でわかったこと
ゆっくり(52〜85拍/分)で強いリズムのない曲を、寝るときに毎日25〜60分本人が感じる眠りの質がよくなった(13件・1007人)[1]
研究者が選んだ曲か、本人が候補から選んだ曲かはっきりした差はなかった[1]
鎮静的な曲か、リズム中心の曲か高齢者では鎮静的な曲のほうが改善が大きかった[3]
口ずさめるヒット曲を寝る直前に聴く頭の中で曲が回りやすく、機器で測った眠りが浅くなった(50人)[5]

03 今日からできる小さな一歩眠るための音楽は、どう選んで何分聴く?

ゆっくりで強いリズムのない曲を選び、寝る準備を終えてから布団で25〜45分ほど聴きます。研究の多くは毎日1回、寝るときに聴く形でした。2〜4週間ほど続けて、眠りの感じ方が変わるか確かめます。

1

ゆっくりで、口ずさまない曲を選ぶ

研究で使われたのは、1分間に52〜85拍のゆっくりした、音量や速さの変化が少ない曲でした[1]。つい歌いたくなるヒット曲は、頭の中で回りやすいので寝る直前は避けます[5]。

所要 10分(1回だけ)

2

寝る準備を終えてから、布団で聴く

研究の多くは、寝るときに1日1回、25〜60分(平均36分)聴いていました[1]。歯みがきなどを済ませ、照明を落としてから再生し、聴きながら眠ってかまいません。

所要 25〜45分

3

小さめの音量にし、終わる時間を決めておく

音楽で物音が気にならなくなるのは利点ですが、大きな音は逆効果になりえます。再生リストの長さやスリープタイマーで、30〜45分ほどで止まるようにしておくと安心です。

所要 1分

4

2〜4週間続けて、眠りの感じ方をメモする

研究の期間は3日〜3か月で、高齢者のまとめでは4週間より長い場合に改善が見られました[3]。朝に「よく眠れた感じ」を5段階でつけておくと、自分に合うか判断しやすくなります。

所要 1日1分

04 続けるためのコツ音楽を聴いても眠れないときは?

音楽で変わるのは主に「眠れた感じ」で、機器で測った睡眠はあまり変わりません。曲を変えても眠れない夜が続くなら、布団でのすごし方そのものを見直すほうが近道です。

05よくある質問

寝るときに音楽をかけっぱなしにしても大丈夫ですか?

研究で使われた音楽は1回25〜60分で、一晩中流し続けた形ではありません。Jespersenら(2022)のまとめでは、音楽による悪い影響は報告されていませんでした。ただし音が大きいと目が覚めるきっかけになりうるので、小さめの音量で、30〜45分ほどで止まるようにしておくのが無難です。

眠るための音楽は、何を聴けばいいですか?

研究で使われたのは、1分間に52〜85拍のゆっくりした、強いリズムのない曲でした。研究者が選んだ曲でも、本人が候補から選んだ曲でも、効果にはっきりした差はありませんでした。651人の調査で眠るために聴く曲として多かったのはクラシックで、ジャンルの回答の32%でした。

歌詞のない曲なら、寝る前に聴いても大丈夫ですか?

歌詞の有無より、頭の中で繰り返し流れるかどうかが大切そうです。Scullinら(2021)の実験では、ヒット曲の歌なし版を聴いた人のほうが、夜中に曲が頭で回りやすく、寝つきが遅くなりました。よく知っていて口ずさめる曲は、寝る直前は避けると安心です。

出典

  1. Jespersen, K. V., Pando-Naude, V., Koenig, J., Jennum, P., & Vuust, P. (2022). Listening to music for insomnia in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews, 8, CD010459. https://doi.org/10.1002/14651858.CD010459.pub3
  2. Feng, F., Zhang, Y., Hou, J., Cai, J., Jiang, Q., Li, X., Zhao, Q., & Li, B. A. (2018). Can music improve sleep quality in adults with primary insomnia? A systematic review and network meta-analysis. International Journal of Nursing Studies, 77, 189-196. https://doi.org/10.1016/j.ijnurstu.2017.10.011
  3. Chen, C. T., Tung, H. H., Fang, C. J., Wang, J. L., Ko, N. Y., Chang, Y. J., & Chen, Y. C. (2021). Effect of music therapy on improving sleep quality in older adults: A systematic review and meta-analysis. Journal of the American Geriatrics Society, 69(7), 1925-1932. https://doi.org/10.1111/jgs.17149
  4. Trahan, T., Durrant, S. J., Müllensiefen, D., & Williamson, V. J. (2018). The music that helps people sleep and the reasons they believe it works: A mixed methods analysis of online survey reports. PLoS ONE, 13(11), e0206531. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0206531
  5. Scullin, M. K., Gao, C., & Fillmore, P. (2021). Bedtime music, involuntary musical imagery, and sleep. Psychological Science, 32(7), 985-997. https://doi.org/10.1177/0956797621989724
  6. Dickson, G. T., & Schubert, E. (2019). How does music aid sleep? Literature review. Sleep Medicine, 63, 142-150. https://doi.org/10.1016/j.sleep.2019.05.016