口テープは睡眠に効く? いびき・口呼吸の対策として、研究でわかったことと注意点

寝ている間に口が開いて、朝はのどがカラカラ。家族からはいびきを指摘される。そんなとき、SNSで「寝る前に口にテープを貼るとぐっすり眠れる」という話を見かけた人も多いはずです。結論から言うと、口テープが睡眠に効くという研究の裏づけは、まだかなり弱いのが現状です。効果が見られたのは限られた人の小さな研究で、人によっては危険もあると指摘されています。
3行でわかる
- 10本の研究をまとめた2025年のレビューでは、口テープの効果ははっきりしないと結論づけられました。研究の数が少なく、質も低いものが中心です。
- 効果が見られたのは、鼻がつまっていない、軽い睡眠時無呼吸の口呼吸の人です。20人の研究では、呼吸が止まる・弱くなる回数が1時間あたり8.3回から4.7回に減りました。
- 鼻づまりがあると窒息のおそれが指摘され、口呼吸の多い人では口を閉じると空気の通りが悪くなりました。SNSの投稿の94.4%は口テープをすすめていました。
01 悩みの正体口テープが「睡眠にいい」と言われるのはなぜ?
口テープがすすめられるのは、寝ている間の口呼吸が、のどの空気の通り道を狭め、いびきや睡眠時無呼吸を悪くしやすいと考えられているからです。口を閉じれば鼻で息をする、という発想です。
口を開けて寝ると、あごが下がり、のどの奥が狭くなりやすくなります。口呼吸は、睡眠時無呼吸(寝ている間に呼吸が何度も止まったり弱くなったりする状態)の悪化と関係すると考えられています。だから「口を閉じれば鼻で息ができて、いびきも減るはず」というわけです。
ただし、口で息をしている理由が鼻づまりや、鼻の奥ののどがふさがりやすいことにある人もいます。その場合、口は「空気の逃げ道」になっています。そこを閉じると、かえって息がしにくくなるおそれがあります。口テープの研究では、この違いが結果を分けていました。
| どんな人か | 研究で見られたこと |
|---|---|
| 鼻が通る、軽い睡眠時無呼吸の口呼吸の人 | 呼吸が止まる回数やいびきが減った小さな研究がある [1][2] |
| 寝ている間、口呼吸がわずかな人 | 口を閉じても空気の通りは変わらなかった [3] |
| 寝ている間、ほとんど口で息をしている人 | 口を閉じると空気の通りが悪くなった [3] |
| 鼻づまりがある人 | 窒息のおそれが指摘されている [1]。鼻がつまると無呼吸の指標が悪化 [4] |
| 睡眠時無呼吸のない、ふつうの人 | 眠りの質が良くなるかを確かめた研究は見つからなかった |
02 科学的にわかっていること口テープの効果は研究で確かめられている?
口テープの効果は、研究で確かめられたとは言えません。研究をまとめたレビューは「効果ははっきりしない」とし、改善が見られたのは対象を絞った小さな研究に限られました。
Rheeら(2025)[1]
口テープや、あごを固定するベルトなど「口を閉じる方法」を調べた研究を集めたシステマティックレビューです。条件を満たしたのは10本で、参加者は合わせて約200人でした。睡眠時無呼吸の重さを示す指標をくらべた5本のうち、はっきり改善したのは3本で、2本は差がありませんでした。改善した研究の多くは軽い睡眠時無呼吸の人を対象にし、3本とも鼻づまりのある人を外していました。10本のうち4本は、鼻づまりがあると窒息のおそれがあると指摘していました。著者らは、SNSの流行のように誰でも試すことには、深刻な害のおそれがあると結論づけています。
対象: 睡眠時無呼吸・口呼吸などのある人の10本の研究(平均年齢38〜64歳) / 限界: 研究の数が少なく、質も低いものが中心。くじ引きで分けた試験は1本だけ。
Leeら(2022)[2]
台湾で、軽い睡眠時無呼吸があり、口で息をしている20人に、肌にやさしいシリコンのテープで口を閉じて1週間後に自宅で睡眠検査をしました。呼吸が止まる・弱くなる回数は、1時間あたり8.3回から4.7回に減りました(中央値)。いびきの回数も47%減り、いびきが半分以下になった人は20人中13人(65%)でした。
対象: 軽い睡眠時無呼吸の20人(テープを貼って眠れた人だけ) / 限界: 比べる群がない小さな予備研究。著者自身が、中等度以上の人にはすすめられないとしている。
Yangら(2024)[3]
睡眠時無呼吸のある54人を、薬で眠った状態にして調べました。あごを押さえて口を閉じると、全体では吸う息の量が増えました。ただし、口呼吸がほとんどない10人では変化がなく、中くらいの口呼吸の32人では改善し、口呼吸がとても多い人ではかえって悪化しました。鼻の奥ののど(軟口蓋のあたり)がふさがりやすい人ほど口で息をしていて、口を閉じると空気の通りが悪くなっていました。
対象: 中等度の睡眠時無呼吸が中心の54人(年齢の中央値55歳) / 限界: テープではなく手であごを押さえた検査で、薬で眠った状態の短い測定。くじ引きで分けた試験ではない。
Alshehriら(2026)[4]
鼻がつまると睡眠中の呼吸がどう変わるかを、17本の研究からまとめたメタ分析です。鼻をふさぐと、呼吸が止まる・弱くなる回数は1時間あたり13.78回増えました。鼻で息ができることの大切さを示す結果です。口テープの研究は2本しかなく、数をまとめる分析はできませんでした。その2本では、軽い睡眠時無呼吸の人で回数が減っていました。
対象: 17本の研究・354人 / 限界: 研究ごとの条件のばらつきが大きい。口テープについては2本の研究の紹介にとどまる。
Bizzocaら(2026)[5]
Instagramで「#mouthtape」がついた動画390本を調べました。94.4%が口テープをすすめていて、投稿の55.4%は企業によるもので、医療の専門家による投稿は11.6%でした。すすめる動画は、批判的な動画よりも多くシェアされていました(平均923回と193回)。
対象: 2025年4月に集めた390本の動画 / 限界: 1つのSNSの、ある時点の投稿だけを調べたもの。
03 今日からできる小さな一歩口呼吸やいびきが気になるときは、何から始める?
口テープを試す前に、鼻で楽に息ができるかと、睡眠時無呼吸のサインがないかを確かめます。どちらかが当てはまるなら、テープではなく医療機関に相談するのが先です。
鼻だけで1分間、楽に息ができるか確かめる
口を閉じて座り、鼻だけで1分間呼吸してみます。苦しい、片方の鼻がつまっている、という人は口テープに向きません。鼻づまりがあると窒息のおそれが指摘されています [1]。
所要 1分
睡眠時無呼吸のサインをチェックする
大きないびき、寝ている間に息が止まっていると言われた、昼間に強い眠気がある。こうしたサインがあれば、睡眠時無呼吸の可能性があります。口テープの研究でも、中等度以上の人にはすすめられていません [2]。
所要 2分
気になるなら、耳鼻咽喉科や睡眠外来で相談する
口で息をする理由が鼻か、のどの奥かで、口を閉じたときの結果は逆になりました [3]。自分がどちらかは、検査しないとわかりません。口テープを使いたい場合も、医師に相談してからにします。
所要 予約5分
04 続けるためのコツSNSの睡眠グッズの話と、どうつきあう?
SNSで広まる睡眠法は、すすめる投稿ほど広がりやすく、研究の裏づけとは別物です。試す前に、誰が発信しているか、どんな人で確かめられたかを見ます。
- 発信者を見る: 口テープの動画の55.4%は企業の投稿でした [5]。商品を売る立場の人の話は、割り引いて受け取ります。
- 「誰で確かめたか」を見る: 効果が見られたのは、鼻が通る軽い睡眠時無呼吸の人の小さな研究でした [2]。自分と同じ条件の人で確かめられたかを考えます。
- ほかの睡眠グッズも同じ目で見る: 重い布団の研究やホワイトノイズの研究でも、「効く」と言い切れるほどの根拠はまだありませんでした。
- 寝る前のお酒にも注意する: お酒は寝つきを早くしても眠りの質を下げます。詳しくは寝る前のお酒の記事で書いています。
05よくある質問
口テープをするとぐっすり眠れる?
そう言える研究はまだありません。研究のほとんどは睡眠時無呼吸や口呼吸のある人を対象に、呼吸の止まる回数やいびきを測ったもので、ふつうの人の眠りの深さや目覚めの良さが変わるかは調べられていません。
いびき対策に口テープを使ってもいい?
自己判断で始めるのはおすすめできません。軽い睡眠時無呼吸で口呼吸の20人では、いびきの回数がおよそ半分になりましたが、比べる群のない小さな研究です。大きないびきは睡眠時無呼吸のサインのこともあるので、先に医療機関で確かめてもらうのが安全です。
口テープが危ないのはどんな人?
鼻がつまりやすい人や、寝ている間ほとんど口で息をしている人です。研究のまとめでは、鼻づまりがあると窒息のおそれがあると複数の研究が指摘していました。口呼吸の多い人では、口を閉じるとかえって空気の通りが悪くなった研究もあります。
出典
- Rhee, J., Iansavitchene, A., Mannala, S., Graham, M. E., & Rotenberg, B. (2025). Breaking social media fads and uncovering the safety and efficacy of mouth taping in patients with mouth breathing, sleep disordered breathing, or obstructive sleep apnea: A systematic review. PLOS ONE, 20(5), e0323643. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0323643
- Lee, Y.-C., Lu, C.-T., Cheng, W.-N., & Li, H.-Y. (2022). The impact of mouth-taping in mouth-breathers with mild obstructive sleep apnea: A preliminary study. Healthcare, 10(9), 1755. https://doi.org/10.3390/healthcare10091755
- Yang, H., Huyett, P., Wang, T. Y., et al. (2024). Mouth closure and airflow in patients with obstructive sleep apnea: A nonrandomized clinical trial. JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery. https://doi.org/10.1001/jamaoto.2024.3319
- Alshehri, N. A., Alsaif, N. F., Abdulrazaq, A. N., Jabor, R. M., & Al-Sayed, A. A. (2026). Impact of nasal obstruction and mouth taping on sleep apnea indicators: Systematic review and meta-analysis. OTO Open. https://doi.org/10.1002/oto2.70294
- Bizzoca, M. E., Durante, C., Santos, F. J. V., et al. (2026). The spread of non-evidence-based health claims on social media: The case of #Mouthtape on Instagram, a cross-sectional study. Dentistry Journal, 14(7), 418. https://doi.org/10.3390/dj14070418


