食べたあとのしゃっくりが止まらないときは? 息こらえ・水・砂糖が効くかを研究で調べた

急いで食べたあとや、炭酸を飲んだあとに、しゃっくりが止まらなくなる。息を止める、水を飲む、砂糖をなめる。いろいろ試しても止まらないと、少し不安になりますよね。研究を調べると、よく知られた方法の多くは、きちんとした試験では確かめられていませんでした。それでも、手がかりになる研究はあります。ほとんどのしゃっくりは自然に止まり、48時間を超えるかどうかが受診の目安です。
3行でわかる
- しゃっくりは、横隔膜(肺の下にある呼吸の筋肉)が勝手に縮み、直後に声門が閉じて「ヒック」と鳴る反射です。食べすぎ・早食い・炭酸・辛いもの・熱い/冷たい飲みものが、きっかけになると考えられています。
- 息こらえ・砂糖・冷たい水などの民間の方法は、手軽で安全な一方、しつこいしゃっくりへの効果は「はっきりしない」とまとめられています。比べる相手を置いた試験は見当たりませんでした。
- 2024年の21人の報告では、息を吸いきってから30秒吸い続ける方法で、全員がすぐ止まったと答えました。48時間以上続くしゃっくりは、病気が隠れていないか医師に相談する目安です。
01 悩みの正体食べたあとにしゃっくりが出るのはなぜ?
しゃっくりは、横隔膜が勝手にぎゅっと縮み、そのすぐあとに声門(のどの空気の通り道のふた)が閉じる反射です。食べものや飲みもので胃が急にふくらむと、この反射が起きやすいと考えられています。
しゃっくりのとき、体の中では2つのことが続けて起きています。まず横隔膜と、肋骨のあいだの筋肉が急に縮みます。すると肺に空気が勢いよく入ります。その空気が、すぐに閉じた声門にぶつかって「ヒック」と鳴ります。
この動きは、横隔膜につながる神経と、胃や食道からの神経がつくる「反射の回路」で起きます。2012年の総説は、すぐ止まる一時的なしゃっくりのきっかけとして、次のものを挙げています。
- 食べすぎ・早食いで、胃が急にふくらむ
- 炭酸飲料を飲む、空気を一緒に飲みこむ
- 辛いものを食べる
- 熱い飲みもの・冷たい飲みもので、温度が急に変わる
- アルコール、たばこの吸いすぎ
一度始まると、1分間に40〜60回ほどのペースでくり返されます [3]。ただ、ほとんどは自然に止まります [1][3]。食べるペースが気になる人は、早食いを直すやり方の研究も参考になります。
02 科学的にわかっていること息こらえ・水・砂糖で、しゃっくりは止まる?
息こらえ・砂糖・冷たい水などの民間の方法は、ほとんど試験で確かめられていません。研究があるのは、息を吸い続ける方法と、吸う力の要るストローの報告くらいで、どちらも比べる相手のいない小さな調査です。
| よく言われる方法 | 研究でわかったこと |
|---|---|
| 息を止める・紙袋で呼吸する | 手軽で安全だが、しつこいしゃっくりへの効果ははっきりしない [1] |
| 砂糖をなめる・冷たい水を飲む・驚かす | 同じく効果ははっきりしない。比べた試験は見当たらない [1] |
| 息を吸いきって、さらに30秒吸い続ける | 21人全員が「すぐ止まった」と報告。ただし比べる相手なし [3] |
| 吸う力の要るストローで水を飲む | 249人の回答で約92%が止まった。自己申告で、比べる相手なし [4] |
| 48時間以上続くしゃっくりの薬 | 質の高い試験はなく、原因の病気を治すのが最も効果的 [2] |
Chang & Lu(2012)[1]
しゃっくりの仕組みと治療をまとめた総説です。紙袋での呼吸、息こらえ、砂糖を飲みこむ、氷水を飲む・うがいする、レモンをかじる、驚かすなどの方法は、昔から勧められてきたものの、しつこいしゃっくりへの効果は「たいていはっきりしない」とまとめています。手軽で危険が少ないので試してよい、という位置づけです。一方で、息をいっぱいに吸って横隔膜を20秒以上止めておく方法で、長引くしゃっくりが止まった妊婦の例も紹介しています。
限界: 研究をまとめた総説で、民間の方法を新しく試したものではありません。紹介されている例の多くは1人ずつの報告です。
Stacey & Bassett(2024)[3]
17〜64歳の21人に、「息をいっぱいに吸い、そこからさらに吸おうとし続けて合計30秒、そのあとゆっくり吐く」方法を教えました。のどを閉じずに吸い続けるのがポイントで、ふつうの息止めとは違います。21人全員が、すぐにしゃっくりが止まったと答えました。4日間続いていた1人も止まり、その後2年間、長引くしゃっくりは出ていません。
対象: 著者の医師が8年間に出会った21人(男性12人・女性9人)/ 限界: 比べる相手のいない少人数の報告です。著者らも「効果を確かめるにはさらに研究が必要」と書いています。
Alvarezら(2021)[4]
吸うのに強い力が要る弁つきのストローで、コップの水を吸って飲みこむ道具を調べました。使った249人の回答では、約92%でしゃっくりが止まりました。効き目を答えた203人のうち183人(90.1%)が、民間の方法より効いたと評価しました。副作用の報告はありませんでした。
対象: 1〜90歳の249人(平均30.9歳)/ 限界: 比べる相手のいないオンライン調査で、本人の感想です。道具の発明者が著者に入っており、論文自身も「ランダム化比較試験で確かめる必要がある」と書いています。
Stegerら(2015)[2]
48時間以上続くしゃっくりの薬について、15本の研究(計341人)をまとめました。短いしゃっくりは、体を使った方法で止まることが多いとしています。一方、長引くしゃっくりの薬には、きちんとした大きな試験がありませんでした。最も効果的だったのは、原因になっている病気を治すことでした。
限界: 薬の研究の総説で、食後の短いしゃっくりの対処を比べたものではありません。
03 今日からできる小さな一歩しゃっくりが止まらないとき、まず何をする?
まず食べる・飲むのをいったん止め、息を吸いきってから30秒吸い続ける方法を試します。止まらなくても、ほとんどは自然に止まるので、あわてずに待ちます。
食べる・飲むのをいったん止める
早食いや炭酸で胃がふくらんでいるときは、続けて食べるとまた刺激が加わります。座って、姿勢を楽にします。
所要 すぐ
息を吸いきって、さらに30秒吸い続ける
胸がいっぱいになるまで吸い、そこからのどを閉じずに「まだ吸う」と力を入れ続けます。30秒たったら、ゆっくり吐きます。息を止めるのとは違い、吸う力をかけ続けるのがコツです。苦しいときは無理をせず途中でやめます。
所要 30秒・1〜2回
次の食事で、きっかけを減らす
しゃっくりが出やすい人は、ゆっくり食べる、炭酸を一気に飲まない、熱いものと冷たいものを続けてとらない、を試します。きっかけとして挙げられているもので、防げるかを確かめた試験はありません。
所要 次の食事から
04 続けるためのコツしゃっくりが何日も続くときは病院に行くべき?
しゃっくりが48時間以上続くときは、医師に相談する目安です。長引くしゃっくりは、胃食道逆流(胃酸が食道に上がる状態)や薬の副作用など、原因がある場合があります。
- 48時間を超えると「持続性のしゃっくり」と呼ばれます。食後のふつうのしゃっくりとは分けて考えます。
- 長引くしゃっくりの原因として、胃食道逆流、脳の病気、手術、ステロイドなどの薬が挙げられています [1]。
- 眠れない、食べられないほど続くときも、日数を待たずに相談してかまいません。
- 食べすぎたあとのお腹の苦しさが気になる人は、食べすぎたときの過ごし方の研究もどうぞ。辛いものの刺激には辛さを和らげる飲みものの研究があります。
05よくある質問
砂糖をなめるとしゃっくりは止まる?
砂糖を飲みこむ方法は、2012年の総説で「昔から勧められてきたが、しつこいしゃっくりへの効果ははっきりしない」方法の1つに挙げられています。今回調べた範囲では、比べる相手を置いて確かめた試験は見つかりませんでした。試すのは自由ですが、効くと言い切れる根拠はありません。
息を止めるのと、息を吸い続けるのは何が違う?
息を止めると、横隔膜はゆるんだ状態でのどが閉じます。2024年に報告された方法は、のどを開けたまま吸う力をかけ続けるので、横隔膜が縮んだ状態が30秒続きます。著者らは、この違いが効き目に関係すると考えていますが、2つを比べた試験はまだありません。
しゃっくりを100回すると死ぬって本当?
研究の中に、そうした話を裏づけるものは見当たりません。しゃっくりは1分間に40〜60回ほどくり返されることもあり、100回は数分で届きます。ただし、48時間以上続くときは、原因を調べるために医師に相談する目安です。
驚かすとしゃっくりが止まるのはなぜ?
2024年の報告では、息止めや驚きで体の二酸化炭素が一時的に増えることが、しゃっくりを止める仕組みの1つと考えられています。ただ、驚かす方法そのものを試験で確かめた研究は見当たりませんでした。
出典
- Chang FY, Lu CL (2012). Hiccup: mystery, nature and treatment. Journal of Neurogastroenterology and Motility, 18(2), 123-130. https://doi.org/10.5056/jnm.2012.18.2.123
- Steger M, Schneemann M, Fox M (2015). Systemic review: the pathogenesis and pharmacological treatment of hiccups. Alimentary Pharmacology & Therapeutics, 42(9), 1037-1050. https://doi.org/10.1111/apt.13374
- Stacey SK, Bassett MS (2024). Hiccup Relief Using Active Prolonged Inspiration. Cureus, 16(1), e53045. https://doi.org/10.7759/cureus.53045
- Alvarez J, Anderson JM, Snyder PL, Mirahmadizadeh A, Godoy DA, Fox M, Seifi A (2021). Evaluation of the Forced Inspiratory Suction and Swallow Tool to Stop Hiccups. JAMA Network Open, 4(6), e2113933. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.13933


