魚の骨がのどに刺さって取れないときは? ご飯の丸のみより先にやることを研究で調べた

魚を食べていて、のどにチクッと何かが刺さった。ご飯を丸のみすれば取れる、と聞いたことがある人は多いはずです。研究で多かったのは、骨がのどの浅いところ(扁桃など)に刺さり、医師がその場で取れたケースでした。ご飯の丸のみで取れるかを確かめた研究は見つからず、取れないときは当日のうちに耳鼻咽喉科で診てもらうのが近道です。
3行でわかる
- 東北大学病院で魚を食べたあとのどの違和感を訴えた368人のうち、骨が見つかったのは270人。そのうち170人は扁桃(のどの両脇)に刺さっていました。
- 医師が取った240人のうち、131人(54.6%)は口からピンセットのような器具で取れました。残り109人(45.4%)は内視鏡か手術が必要でした。
- のどの異物の1,572人の調査では、飲み込んでから1日以内に受診した人は75%で異物が見つかり、日がたつほど見つかる割合が下がりました。
01 悩みの正体魚の骨はのどのどこに刺さりやすい?
多くは口から見える近さの、のどの奥の両脇(扁桃)や舌の付け根に刺さります。東北大学病院の270人では、87.4%が「中咽頭」と呼ばれる口の奥の部分でした。
魚の骨は細くとがっているため、飲み込むときに、やわらかいのどの粘膜に引っかかります。いちばん多いのは、口を開けると奥の両脇に見える「扁桃(へんとう)」です。
ただし、骨の刺さる場所は魚の種類で違いました。カレイの骨は、もっと奥の「下咽頭」や食道に入りやすく、見つけて取るのに手間がかかりました [1]。食道まで入った骨は、のどよりも重い合併症につながることがあると報告されています [3]。
02 科学的にわかっていること刺さった魚の骨は、自然に取れる?
自然に取れたり、受診したときには違和感が消えていたりする人もいます。ただ、医師が骨を見つけた人の約半数は、内視鏡か手術で取る必要がありました。ご飯の丸のみで取れるかを確かめた研究は見つかりませんでした。
| 飲み込んでから受診まで | 人数 | ビデオ喉頭鏡で異物が見つかった割合 |
|---|---|---|
| 1日 | 1,002人 | 74.75% |
| 2〜3日 | 333人 | 56.76% |
| 4〜6日 | 131人 | 34.35% |
| 7〜14日 | 79人 | 21.52% |
| 15日以上 | 27人 | 18.52% |
出典: Linら(2020)の表2 [2]。異物の92%は魚の骨。日がたつほど割合が下がる理由には、骨が自然に取れた人が含まれる可能性もあります。
Shishidoら(2021、日本・東北大学病院)[1]
魚を食べたあと、飲み込みにくさやのどの痛み・違和感で受診した368人のカルテを調べました。骨が確認されたのは270人(73.4%)で、87.4%は口の奥の中咽頭、そのうち扁桃が170人と最多でした。医師が取った240人のうち54.6%は口から器具で取れ、45.4%は内視鏡(103人)か手術(6人)が必要でした。多かった魚はウナギ39人、サバとサケ33人ずつでした。
対象: 2015〜2020年に受診した368人。98人(26.6%)は医師が骨を見つけられず、受診時には症状もおさまっていました / 限界: 1つの大学病院のカルテを振り返った研究で、重い人が集まりやすい可能性があります。
Linら(2020、中国)[2]
のどの異物で耳鼻咽喉科を受診した1,572人を調べると、異物の91.98%が魚の骨でした。刺さっていた場所は舌の付け根(42.29%)、喉頭蓋谷(舌の付け根と気管のふたの間、19.40%)、扁桃(18.21%)の順でした。飲み込んでから受診するまでの日数が長いほど、異物が見つかる割合は下がりました。
対象: 1つの病院の耳鼻咽喉科を受診した1,572人。最初の診察で見つからなかった、または取れなかった人がビデオ喉頭鏡で調べられました / 限界: 振り返りの研究です。日数が長い人で見つかりにくかった理由が、骨が自然に取れたためか、見えにくくなったためかは分けられていません。
Kim(2016、韓国・レビュー)[3]
魚の骨は、魚をよく食べるアジアでは大人の食べものによる異物でいちばん多い原因です。食道に刺さった魚の骨は、ほかの異物より出血や穿孔(壁に穴があくこと)が多いとされます。とがった異物が食道にある場合は、できれば2時間以内、遅くとも6時間以内に内視鏡で取ることを勧める指針を紹介しています。24時間以上たつこと、3cmを超える長い骨は、悪い経過の危険因子でした。
限界: 既存の研究と指針をまとめた解説で、新しく試験をしたものではありません。
Liら(2025、中国・レビュー)[4]
1972〜2024年に報告された、魚の骨がのどや腸の壁を突き抜けて別の場所に移動した127人をまとめました。首の膿瘍(うみのたまり)、甲状腺、肝臓、心臓や大きな血管にまで達した例がありました。刺さってから受診までの期間には大きな幅があり、本人が骨を飲んだことに気づいていない例もありました。
限界: まれな重い例を集めた症例報告のまとめで、どのくらいの割合で起きるかはわかりません。多くの魚の骨は、こうした経過をたどりません。
03 今日からできる小さな一歩魚の骨がのどに刺さったら、まず何をする?
食べるのをいったんやめ、ご飯の丸のみや指でかき出すのは控えます。チクチクが続くなら、当日のうちに耳鼻咽喉科を受診します。1日以内なら異物が見つかる割合は75%と高く、多くは口から器具で取れます。
食べるのをやめ、丸のみしない
ご飯やパンを丸のみして押し込むのはやめておきます。指や箸を奥まで入れてかき出すのも、のどを傷つけるもとです。
所要 すぐ
魚の種類と時刻をメモする
骨の刺さりやすい場所は魚の種類で違いました。カレイなどは奥に入りやすいとわかっています。医師に「何の魚を、何時に」と伝えられるようにしておきます。
所要 30秒
チクチクが続くなら、その日のうちに耳鼻咽喉科へ
飲み込んで1日以内の受診では、異物が見つかる割合が74.75%でした。夜間なら、翌日の早い時間を目安にします。
所要 受診30分〜
04 続けるためのコツすぐ受診したほうがいいのはどんなとき?
息が苦しい、つばも飲み込めない、胸や背中が痛む、熱が出てきた。こうしたときは骨が奥に入ったり、炎症が広がったりしている可能性があるため、時間をおかずに救急外来などを受診します。
- つばが飲み込めない・胸が痛い: 食道に詰まっている可能性があります。食道のとがった異物は、できるだけ早く取ることが勧められています [3]。
- 数日たって痛みが強くなる・熱が出る: 首の膿瘍などの合併症の報告があります [4]。違和感が消えていても、悪化したら受診します。
- 息ができない・声が出ない: これは骨ではなく、食べものが気道に詰まった状態かもしれません。のどに詰まったときの対処を確認しておきます。
- 次から防ぐ: 急いで食べると骨に気づきにくくなります。早食いを直すやり方もどうぞ。
05よくある質問
魚の骨がのどに刺さったら、ご飯を丸のみすると取れる?
ご飯の丸のみで骨が取れるかを確かめた研究は見つかりませんでした。研究でわかっているのは、骨がのどより奥の食道に入ると取りにくく、出血や穿孔などの合併症も起きやすいことです。丸のみはせず、チクチクが続くなら耳鼻咽喉科を受診します。
魚の骨は放っておけば自然に取れる?
取れることもあります。東北大学病院の368人では、98人(26.6%)は受診したときには症状がおさまり、骨も見つかりませんでした。一方で、医師が骨を取った240人のうち45.4%は内視鏡か手術が必要でした。違和感が続くなら、自然に取れるのを待ちすぎないほうが安心です。
魚の骨が刺さったら何科に行けばいい?
のどなら耳鼻咽喉科です。多くの骨は扁桃や舌の付け根など口に近いところに刺さり、東北大学病院の研究では54.6%が口から器具で取れました。胸の痛みやつばが飲み込めない場合は、食道に入っている可能性があるため、救急外来などを受診します。
取れたかどうかわからず、違和感だけが残るのは?
東北大学病院の368人のうち98人は、受診したときには医師が骨を見つけられず、症状もおさまっていました。のどの異物の1,572人の調査でも、時間がたって受診した人ほど異物が見つかる割合は下がりました。違和感が数日たっても続く、強くなる、熱が出るといった場合は受診します。
出典
- Shishido T, Suzuki J, Ikeda R, Kobayashi Y, Katori Y (2021). Characteristics of fish-bone foreign bodies in the upper aero-digestive tract: The importance of identifying the species of fish. PLoS One, 16(8), e0255947. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0255947
- Lin C, Liu D, Zhou H, Zhang X, Lu L, Gao X (2020). Clinical diagnosis and treatment of throat foreign bodies under video laryngoscopy. Journal of International Medical Research, 48(7), 300060520940494. https://doi.org/10.1177/0300060520940494
- Kim HU (2016). Oroesophageal Fish Bone Foreign Body. Clinical Endoscopy, 49(4), 318-326. https://doi.org/10.5946/ce.2016.087
- Li D, Zeng W, Chen J (2025). Fish bone migration: complications, diagnostic challenges, and treatment strategies. World Journal of Emergency Surgery, 20(1), 35. https://doi.org/10.1186/s13017-025-00611-9


