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カレーを一晩おいても大丈夫? 食中毒を防ぐ冷まし方と保存のしかたを研究で調べた

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皿に盛ったカレーライス
Photo: Ocdp / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

たくさん作ったカレーを、鍋のままコンロに置いて翌日に食べる。よくあることですが、日本のウェルシュ菌の食中毒で、原因の食べものがわかったものの中で最も多かったのはカレーライスでした。この菌は加熱しても芽胞の形で生き残り、ゆっくり冷めていく間に増えます。小分けして早く冷やし、食べる前によく温め直せば、増える時間を減らせます。

3行でわかる

  1. ウェルシュ菌は加熱しても「芽胞」で生き残り、12〜50℃で増えます。大きな鍋の料理は冷めにくく、中の空気も少ないため増えやすくなります。
  2. 日本では2000〜2022年に617件のウェルシュ菌食中毒があり、原因がわかった中ではカレーライスが42件で最多でした。市販のカレーの素やスパイスの7.4%から芽胞が見つかりました。
  3. 加熱してから2時間以内に浅い容器へ小分けし、冷蔵庫か冷凍庫へ。冷蔵は3〜4日以内に食べきり、食べる前は全体を十分に温め直します。

01 悩みの正体カレーを鍋のまま一晩おくと、なぜ危ない?

加熱しても生き残るウェルシュ菌の芽胞(がほう)が、冷めていく途中の温度で増えるためです。この菌は12〜50℃で増え、条件がよいと8〜10分で数が倍になるとされています。

カレーやシチューは「一晩おいたほうがおいしい」と言われます。けれど、鍋ごとコンロの上に置いたまま朝を迎えるのは、食中毒の原因になりやすい保存のしかたです。

原因になりやすいのは、ウェルシュ菌という菌です。この菌は、熱に強い「芽胞」という殻にこもった形で、加熱を生き延びます。2025年の国立医薬品食品衛生研究所の研究者による論文は、芽胞が加熱を生き延び、加熱で空気が抜けた料理の中で目を覚まして増えると説明しています。

同じ論文は、大きな鍋で作った料理は中の空気が少なくなり、量が多いほど早く冷ますのが難しいと書いています。ウェルシュ菌は空気を嫌う菌なので、たっぷり作った煮込み料理は増えやすい条件がそろいます。

02 科学的にわかっていることカレーの食中毒は、どれくらい起きている?

日本では2000〜2022年に、ウェルシュ菌の食中毒が617件ありました。原因の食べものがわかった中で、いちばん多かったのはカレーライスの42件です。

Ohnishi T(2025)[1]

厚生労働省の食中毒統計(2000〜2022年)を分析しました。ウェルシュ菌の食中毒は毎年20〜30件ほどで、減る傾向はありませんでした。2022年は22件で1467人が発症し、1件あたり67人と、原因の中でいちばん大規模でした。原因の食べものがわかったのは37%で、その中ではカレーライスが42件と最も多く、あんかけ料理が18件でした。

対象: 国の食中毒統計。 / 限界: 主に大きな調理施設での集団発生で、家庭での発生は少ないとされています。家庭の小さな鍋にそのまま当てはまるとは限りません。

Ohnishi Tら(2025)[2]

日本の店で売られている食品を調べると、食中毒を起こすタイプのウェルシュ菌の芽胞が、カレーの素(カレーミックス)やスパイスの7.4%(204検体中15検体)から見つかりました。貝類では12.3%、干した魚介では8.4%でした。牛肉と豚肉からは見つかりませんでした。

対象: 日本の市販食品。 / 限界: 芽胞が見つかっても、すぐ食中毒になるわけではありません。増える時間を与えないことが大切です。

Grass JEら(2013)[3]

アメリカで1998〜2010年に確認されたウェルシュ菌の集団食中毒は289件、発症者は1万5208人でした。調理した場所は飲食店が43%、仕出しが19%で、家庭も16%ありました。食べものがわかった中では、牛肉(46%)、鶏肉(30%)が多くなりました。

対象: アメリカの保健当局に報告された集団発生。 / 限界: 報告された大きな発生だけで、家庭の小さな食中毒の多くは数えられていません。

02 温度と時間カレーは何℃で何時間おくと、菌が増える?

チリコンカンの実験では、26.7℃以下では6時間たっても菌は増えませんでしたが、32.2℃では6時間後に、37.8〜48.9℃では2時間後に増えていました。

料理の温度(6時間おいた実験)ウェルシュ菌
26.7℃以下6時間たっても増えなかった
32.2℃6時間後に増えていた
37.8〜48.9℃2時間後には増えていた

Blankenship LCら(1988)[4]

アメリカ農務省の研究者が、芽胞を入れたチリコンカン(豆と肉の煮込み)を、5つの温度で6時間おきました。26.7℃以下では増えませんでしたが、32.2℃では6時間後に、37.8〜48.9℃では2時間後に増えていました。ゆっくり冷えていくときの増え方を予測する計算式も作り、実際の結果とよく合いました。

対象: 実験室で菌を入れた料理。 / 限界: 論文の本文には環境から届かず、抄録で数値を確かめました。カレーそのもので調べた実験ではありません。

Leung VHら(2017、アメリカ疾病対策センター)[5]

前日から料理を作り置きした仕出しの昼食で、約50人のうち、回答した30人中19人が腹痛や下痢になりました。食べた料理を答えた発症者16人は、全員が牛肉の料理を食べていました。食べてから症状までは中央値5.3時間でした。店の小さな冷蔵庫には、料理をぎっしり詰めた容器が積み重なっていました。

対象: アメリカ・コネチカット州の1件の集団発生。 / 限界: 1件の調査報告で、冷まし方と発症の関係を比べた実験ではありません。

03 今日からできる小さな一歩作ったカレーを安全に保存するには?

加熱してから2時間以内に、小分けして冷蔵庫か冷凍庫に入れます。鍋ごと置いて自然に冷ますより、浅い容器に分けたり冷たい水で鍋を冷やしたりすると、早く冷めます。

1

食べる分をよそったら、残りはすぐ冷ます準備をする

鍋のまま朝までコンロに置かないようにします。ぬるい温度(およそ30〜50℃)の時間を短くするのがポイントです。

所要 すぐ

2

浅い容器に小分けする

量が多いほど冷めにくく、中の空気も少なくなります。1回に食べる量ずつ、浅い保存容器に分けます。

所要 5分ほど

3

鍋ごと冷たい水につけて、早く冷ます

シンクや大きなボウルに水(氷があれば氷も)を張り、鍋をつけてときどき混ぜます。冷たい水で冷やすと早く冷めることを、2026年のスロベニアの研究は勧めています。

所要 10〜20分ほど

4

2時間以内に冷蔵庫か冷凍庫へ

コネチカット州の例では、小さな冷蔵庫に料理をぎっしり詰めた容器が積み重なっていました。容器と容器の間をあけて入れます。

所要 作ってから2時間以内

5

食べるときは、全体を十分に温め直す

全体が十分に熱くなるまで加熱し、ときどき混ぜて中までむらなく温めます。温め直したものを、また鍋のまま置いておかないようにします。

所要 数分

04 続けるためのコツ冷蔵庫に入れたカレーは、何日もつ?

冷蔵したら3〜4日以内に食べきり、それより長く置くなら冷凍庫に入れます。2026年のスロベニアの研究は「2時間以内に冷やす・ふたつき容器・3〜4日以内・しっかり温め直す」を覚えやすい決まりとして提案しています。

05よくある質問

カレーは鍋のまま常温で一晩おいても大丈夫?

おすすめできません。実験では37.8〜48.9℃で2時間後にはウェルシュ菌が増えていました。鍋の料理はゆっくり冷めるため、この温度にいる時間が長くなります。2時間以内に小分けして冷蔵庫に入れます。

もう一度しっかり加熱すれば、一晩おいたカレーも安全?

温め直しは大切ですが、それだけに頼らないほうが安心です。ウェルシュ菌は加熱に強い芽胞を作り、2024年のレビューは、食中毒の多くを起こすタイプの芽胞は、ほかの芽胞より熱など食品の中のストレスに強いことが多いとしています。増える時間を与えないよう、早く冷やすことを先にします。

熱いカレーを冷蔵庫に入れてもいい?

2026年のスロベニアの研究は、料理は2時間以内に冷やして冷蔵庫か冷凍庫に入れること、冷たい水で冷やしたり小分けしたりすると早く冷めることを挙げています。鍋を水につけてあら熱を取り、浅い容器に分けてから入れると、早く冷やせます。

ウェルシュ菌の食中毒になると、どんな症状が出る?

主な症状は腹痛と下痢で、吐くことは少ないとされています。アメリカの集団発生のまとめでは、吐いた人の割合は中央値で9%でした。コネチカット州の例では、食べてから症状までは中央値5.3時間でした。症状が重いときや長引くときは医療機関に相談してください。

出典

  1. Ohnishi T (2025). Characteristics of outbreaks caused by Clostridium perfringens in Japan. Food Safety, 13(3), 43-45. https://doi.org/10.14252/foodsafetyfscj.D-24-00020
  2. Ohnishi T, Watanabe M, Yodotani Y, Nishizato E, Araki S, Sasaki S, Hara-Kudo Y, Kojima Y, Misawa N, Okabe N (2025). Contamination of Japanese retail foods with enterotoxigenic Clostridium perfringens spores. Journal of Food Protection, 88, 100429. https://doi.org/10.1016/j.jfp.2024.100429
  3. Grass JE, Gould LH, Mahon BE (2013). Epidemiology of foodborne disease outbreaks caused by Clostridium perfringens, United States, 1998-2010. Foodborne Pathogens and Disease, 10(2), 131-136. https://doi.org/10.1089/fpd.2012.1316
  4. Blankenship LC, Craven SE, Leffler RG, Custer C (1988). Growth of Clostridium perfringens in cooked chili during cooling. Applied and Environmental Microbiology, 54(5), 1104-1108. https://doi.org/10.1128/aem.54.5.1104-1108.1988
  5. Leung VH, Phan Q, Costa CE, Nishimura C, Pung K, Horn L, Sosa L (2017). Notes from the field: Clostridium perfringens outbreak at a catered lunch — Connecticut, September 2016. MMWR Morbidity and Mortality Weekly Report, 66(35), 940-941. https://doi.org/10.15585/mmwr.mm6635a3
  6. Bennett SD, Walsh KA, Gould LH (2013). Foodborne disease outbreaks caused by Bacillus cereus, Clostridium perfringens, and Staphylococcus aureus — United States, 1998-2008. Clinical Infectious Diseases, 57(3), 425-433. https://doi.org/10.1093/cid/cit244
  7. Shrestha A, Mehdizadeh Gohari I, Li J, Navarro M, Uzal FA, McClane BA (2024). The biology and pathogenicity of Clostridium perfringens type F: a common human enteropathogen with a new(ish) name. Microbiology and Molecular Biology Reviews, 88(3), e00140-23. https://doi.org/10.1128/mmbr.00140-23
  8. Bensa M, Jevšnik Podlesnik M, Pezo L, Vovk I (2026). Avoiding the temperature danger zone: a Slovenian consumer food safety study on knowledge, attitudes, and practices based on questionnaire analysis. Foods, 15(6), 1062. https://doi.org/10.3390/foods15061062